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数研出版の前身である数学研究社は、今からおよそ100年前に生まれました。今もなお書店に並ぶ「チャート式」の初版本が発刊されたのも、このとき。「解答にいたるための、最も安らかな航路を示す“チャート(=海図)”でありたい」という意志をその名に込め、数研出版の“航海”が始まりました。
教材は、時代のニーズ、教え方や学び方の変化、インフラの進歩などに合わせて、進化しつづけなければなりません。かつてカラー印刷が今ほど一般的ではなかった時代に、理科参考書を全ページカラーにしました。ICTの黎明期、職員室にパソコンがまだあまり普及していなかった頃に、先生方のプリント作成を支援するソフト<Studyaid D.B.>を開発しました。「つながり」が大切な数学において、小学校の復習を充実させ高校数学へスムーズに接続できる教科書が求められていると考え、中学校の検定教科書を発行しました。
いつの時代も、学ぶ人に寄り添い、「どうすればもっとわかりやすく伝わるか」「どうすればもっと楽しく学べるか」を追求し、挑戦しつづけてきた100年でした。
高度情報社会を迎え、AI等の技術が急速な進化をとげていく時代、「自ら考える力」を養う教育が求められています。先生と生徒が、単に「教える-教わる」という関係に終始するのではなく、生徒がより自発的、主体的な姿勢で学習できる環境を、私たちはつくらなければなりません。必然、教科書をはじめとする教材も、変わってゆかなければなりません。
これは、数研出版にとって“新しい航海”の始まりを示唆しています。
数研出版の挑戦は、「チャート式」という一冊の数学の参考書から始まりました。「チャート(=海図)」という言葉には、単に問題の正解を得ることをゴールとするのではなく、そこにたどり着くまでの「考えるプロセス」こそが大切である、というメッセージが込められています。
「考えるプロセス」のなかで培われる思考力、判断力、表現力といったさまざまな力は、生涯にわたって人生を豊かにしてくれます。だから、勉強が得意な人だけでなく、苦手だと感じている人にも、たくさんの「考えるプロセス」を楽しんでもらいたい。そのために、「考える」ためのツールである教材を、もっと学ぶ人に寄り添える、もっとわかりやすい、もっとおもしろいものにしたい。
それが、私たちの新しい挑戦です。