会社案内・採用情報

大正末期 1923~

当社の母体は数学研究社高等予備校と称し、星野華水によって大正の末期、京都の地に創設されました。当初は、学校経営を主とする教育事業体でした。教育者であった華水は数学教育に独創的なシステムを開発し 自ら教鞭をとるかたわら、「チャート式代数学・幾何学」を著して、当時の学生・生徒を大いに魅了しました。これが昭和の時代とともに生き続けてきた「チャート式」の源流です。しかし、第1版が発行されて十数年後、太平洋戦争が勃発。戦況が深刻化するにつれて、学生は学舎を去って戦線に向かい、学校は事実上門を閉じました。(昭和19年)

  • チャート式の創案者 星野華水チャート式の創案者
    星野華水
  • 昭和16年発行の「チャート式代数学」昭和16年発行の
    「チャート式代数学」
  • 昭和17年発行の「チャート式幾何学」昭和17年発行の
    「チャート式幾何学」

戦後 1947~

荒廃した戦後にも新しい時代が訪れました。出版事業に新たな活路をひらくべく、戦後直ちに前社長星野剛は「数学研究社」を京都に創立。教科書も満足に行き渡らない幾年かはありましたが、6・3・3制が施行され、教育内容の抜本的な改革が行われ、資材も豊かさを取り戻すようになって、教育出版界は息を吹き返しました。昭和27年株式会社に改組し社名も「数研出版株式会社」に変更し、第2次大戦中から丸10年、発行の途絶えていた「チャート式」の6・3・3 制第1号を発行。引き続き、「検定教科書」をはじめ、学校教材・学習参考書などが次々出版され、いずれも圧倒的な支持を得て発行部数も飛躍的に増大しました。

  • 初代社長 星野剛初代社長 星野剛
  • 数学研究社(数研出版の前身) 本社正門数学研究社(数研出版の前身
    本社正門

高度成長期 1959~

営業活動の拡大を図るため、昭和34年本社を東京に移しその後も福岡・広島・名古屋・札幌にと、支店も次々に開設。会社の機構は年々拡張・強化されました。同時に出版分野も、数学・社会・理科・国語・英語と高等学校主要全教科に拡張され、さらに中学へも進出し、総合出版社として成長していきました。こうした発展の背後には、編集技術の研究、製版、印刷媒体における表現方法の開発など、品質向上への企業努力が全社をあげて行われていたのでした。1968年、カラー印刷はもっぱら巻頭グラビアの時代に、400頁を超える参考書を4色カラー化した「新シリーズ」は、印刷業界に旋風をまき起こしました。すべては、図版・解説図の見やすさのために……そうして、このカラー参考書は、圧倒的な支持を得ていきました。

英語文法への展開 1975年~

この頃、四人に一人が4年制大学に進学する時代が到来しました。それまで書店店頭商品に力点を置いた企画が多かった当社は、学校そのものが、大学受験を前提とした教育体制に変革するであろうと予見。高校で使用する学校採用の教材(参考書・問題集・サブテキスト)の市場へ、重点を移す方向性を打ち出しました。
そして、新たな教科“英語”への展開を星野剛初代社長自らの編集で始まりました。新進気鋭の若手語学者とベテラン著者との共著、従来型の執筆方法である分担執筆ではなく、両者が全ての分野について執筆し、書いては消し、消しては書き直すという、最初の原稿の9割が書き直しを強いられる徹底的な吟味と分析とを行う編集で、それまでの英語文法書とは、全く違った「チャート式シリーズ 基礎と演習 英語」を発行。簡潔で明解な説明、ポイントを押さえた図解や表、豊富な用例・問題演習、見やすい紙面構成が好評を博し、初年度12万冊採用という快挙を成しとげました。以来、「英語もチャート式」という不動の図式を確立。現在そのシリーズは、「チャート式シリーズ 基礎からの新総合英語」として流れを保ち、進学校において高校初年度に採択される文法系参考書のトップのシェアを確保しています。

  • チャート式シリーズ基礎からの新総合英語チャート式シリーズ
    基礎からの新総合英語

国語古典文法テキストへの展開 1990年~

英語で培った語学系のノウハウを国語、古典の世界へ。ほぼ高校の全校が使用する、「古典文法」のテキストを足がかりに教科“国語”への挑戦が始まりました。 高等学校が生徒に指導する上において必要な事柄を、いかに、教えやすく、見やすい体裁で提供できるか。そうして、学習者の目線でのテキストに徹した、新しい古典文法書の編纂を手がけました。現在「体系古典文法」は、業界トップのシェアを誇り、ライバル会社もその編纂方式の類書で競う状況になっています。
バブル崩壊と学校人口の減少のなか、良いものは必ず受け入れられるという信念は、私たち数研出版が守り続けてきたことです。良書しか発行しない。その方針によって、着実にシェアの拡大を重ね、順調に発行点数を増やしてきた国語は、15年を経て検定教科書の発行へと繋がりました。

1980年、初めて数学・教科書の採用が全国でトップシェアになりました。その後1986年から20年間、現在に至るまでその地位を明け渡したことはありません。

  • 体系古典文法体系古典文法

IT時代への先駆け。ソフト開発を始める 1995年~

パーソナルコンピュータの普及は著しく、学校環境にもその波はあっという間に押し寄せました。1993年初代社長から引き継いだ現社長星野泰也は、直ちにソフト開発に着手し、1996年に「スタディエイドD.B.」を発行。学校の先生方が独自教材を作成するために最も必要なツールとそのデータベースを併せ持つ、まさに、学校のための、学習指導のためのデータベースソフトとして、一躍脚光を浴びました。プログラム言語を理解せずとも自由に操れるグラフと数式処理方式は、その後、特許申請にも至ります。
一人ひとりへのきめ細かな指導をも可能にした教師用支援ソフト『スタディエイドD.B.』は、IT化時代のニーズに応えたソフト商品の大きな柱になりました。「スタディエイドD.B.」は、現在数学では30,000問を超えるデータベースに育ち、数学だけに限らず、理科(物理・化学・生物)、へ発展。また、英語においては、音声と映像を加えたプレゼンテーション用ソフトとして、使われるようになりました。

  • スタディエイドD.B.スタディエイドD.B.

図録・資料集への展開 1998年~

どの業界も徹底したコスト削減を強いられる時代となりました。その中で、1998年、学校関係者ばかりでなく、大学研究者からも驚愕と賞賛の声が上がった書籍を発行しました。「化学図録」です。化学では、化合物の色や反応の様子が重要であるにも関わらず、それまでは“言葉”による理解を中心にした図解集でした。それに対し、2000点を超える写真のほとんどを再現実験し、印刷と実物の色の差を修正しながら、徹底的に学習者の目線で実物の色に近づけた「フォトサイエンス 化学図録」は初版以来、圧倒的な評価を得てまいりました。学習参考書が書店の自然科学コーナーで平積みにされることは希ですが、フォトサイエンスシリーズは、その定番商品になりつつあり、高等学校にとどまらず、大学の学生実験の資料、大学の基礎講座の教科書としても重宝されるようになりました。

  • フォトサイエンス 化学図録フォトサイエンス 化学図録

ゆとり教育への対応 2002〜

2002年度から実施された学習指導要領を皮切りに、完全学校週5日制の導入、「円周率を3として計算する」等、いわゆる「ゆとり教育」が始まりました。「数学離れ」「理系離れ」といった現象が指摘され始めたのもこの頃です。
理系人材の枯渇や長中期的な学力低下を懸念した私たちは、ある意味、時代と逆行するかのように″学力向上プロジェクト″を展開。中高一貫校向け教材の『体系数学』シリーズはその象徴的な新教材であり、以後、圧倒的な支持を得る教材に発展していきました。
ゆとり教育の一方で、教育格差の問題も指摘されるようになりました。そんな中、「勉強が苦手な生徒にもわかりやすい」を信条としたチャート式シリーズは堅実に売り上げを伸ばし、『チャート式 数学』の読者は累計1,600万人を超えました。
データによれば、高校3年間で平均10冊以上の弊社発行書籍をご使用いただいています。また、毎年、弊社で改訂され増刷される書物は600種に上りました。
こうして発行書籍の種類と数が増えることにより、私たちには「品質管理」という新たな課題が生まれました。発行する書籍の数が増えるほど、ミスも多くなるというリスクが生まれます。しかし、「教材」を出版する会社として、それは決して許されないこと。2005年、出版社として、とりわけ編集部門としては異例の「ISO9001(品質マネジメントシステム)」の認証を取得した背景には、「ミス0が当たり前」という強い意識を社内外に表する意図がありました。翌2006年には「製品審査会」という社内タスクフォース機関を立ち上げ、品質管理のさらなる徹底を図りました。

チャート式発行80周年 2006年~

「チャート式 数学」の先輩愛読者は、1,600万人を超えました。データによれば、高校3年間で、平均10冊以上の当社発行書籍をご使用いただいています。また、毎年、当社で改訂され、増刷される書物は600種に上ります。その多くの書籍が、20年、30年の歴史を持っています。80年を超えるチャート式が、数学だけであった時代から、英語・国語・理科・社会のそれぞれに独自のチャートが生まれ、成長してきました。書物は、それを作る人と読む人たちによって、親から子へ、子から孫へと伝えられ、読み返され書き改められて光沢を増し、その光沢のゆえに次の時代へと継承されていきます。数研出版は、さらなる進化を目指します。これからも、どうぞよろしくお願い申し上げます。

中学教科書への参入 2008〜

ゆとり教育、学力格差が助長される中、私たちが長くお付き合いしてきた高等学校の数学の先生方から、基礎学力低下の懸念が指摘されるようになりました。中学で学習する数学の基礎がおぼつかないまま高等学校に入ってしまった生徒は、授業についていけず、苦手意識を持ち、結果数学が嫌いになってしまう−そんな状況が指摘され始めました。
そこで数研出版は、いよいよ中学教科書へ参入することを決断しました。中学教科書の分野では新規参入会社ではありますが、高校数学を知り尽くしている私たちにとって、そこへつながる基礎力を養うための中学教科書を作ることは、必然的な使命であると考えたのです。
文科省への申請、検定を経て、2011年、数研出版として第1号となる中学教科書が世の中にデビューしました。
新事業への進出に伴い、社員を大幅に増強。2011年末、東京本社を従来の九段から神田小川町へと移転いたしました。

未来へ向けて 2015〜

『チャート式』の参考書から始まった当社の発行物は、現在、多岐にわたっています。 その中には、拡大教科書と呼ばれる文字の非常に大きな教科書やデジタル化された教科書・教材などもあります。『チャート式』創案以来、時代とともに教材の形はいろいろな方向に進化しています。未来に向けたものづくりの源泉は人です。快適で働きやすい環境を求めた私たちは、2015年春に、交通の要衝である東京北千住に関東支社を設立して営業業務の効率化を図るともに、同年夏には、関西本社を京都の地下鉄丸太町そばへと移転しました。各地の職場では、新たな環境のもと、未来に向けた教材が生み出されようとしています。

教科書は、教育の根幹を支える教材です。そんな教科書の発行に携わる私たち教科書発行者は、我国の発展のための大切な役割を担っています。将来を担う子どもたちの信頼や期待を裏切るようなことが、決してあってはなりません。そこで、コンプライアンスをより確実なものとするため、2016年3月にコンプライアンス本部を設立しました。真摯なものづくりの態度を忘れずに、私たち数研出版は未来に向けた歩みを続けています。

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