中学校
体系数学
編者からのあいさつ
算数・数学はおもしろい,と私は思います。そのおもしろさは,問題を解いて「できた!」と満足感をもったときとか,何か発見をしたときに強く感じます。それは難しい問題に限りません。算数の計算問題だって,同じことです。でも,やさしい問題でも,計算でも自分なりに少しでも工夫できたとき,そのおもしろさが倍増します。
計算を間違えると,「できた!」というおもしろさは感じられませんが,「その間違いを減らそう,何か良い方法はないかな」と工夫するおもしろさを楽しむことができるのです。計算が苦手だった私が数学者になったのも,このおもしろさから離れることができなかったからです。
子どもたちの理数離れが言われだしてから久しくなりました。それなら,離れる前に少しでも算数・数学のおもしろさを教えてあげたい。自分の考えをすべてのこどもたちに押し付ける気持ちはありませんが,やっぱり,算数・数学がおもしろいことに気づいてほしい。だから,そのおもしろさを伝えるために教壇にたち,そしてものを書いたりもします。
幸いにも数研出版からは,中学校や高等学校の教科書をはじめとして,いろいろな数学の本が発行されており,私もその一部に携わっています。その中には体系数学シリーズのようなユニークな本もあります。
算数・数学はおもしろい,と多くの子どもたちに思ってほしい,これらの本を通じて,私はそう思っています。
埼玉大学名誉教授 岡部恒治