合格体験記「県立高校→早稲田大学へ合格」

文転、浪人、早稲田大学合格!
今回は、県立高校から、早稲田大学に合格したOくんへのインタビュー。文転、浪人の実際を紹介します。
インタビューされる人:男性 Oくん
インタビュアー:ケミ子(ケ)、ぼると(ぼ)、モネ(モ)
合格実績
ぼると:早稲田大学に進学したそうですが、何学部でどういった内容の勉強をするんですか?
Oくん:僕は教育学部教育学科で、学校教育と家庭教育以外の教育全般を勉強します。図書館の司書とか博物館の学芸員の資格とかを取ったりすることができます。
ぼ:図書館の司書とか博物館の学芸員になるために選んだんですか?
Oくん:読書が好きだったので、司書の道に進めたらいいなと思って選びました。
ぼ:浪人時代はどちらの大学を受験したんですか?
Oくん:早稲田は文学部、教育学部、人間科学部で、文学部だけ落ちました。他には中央、明治、法政も合格しました。2浪はしたくなかったので、多めに受けています。
生活スタイル
ケミ子:高校時代はどのように通学していたんですか?
Oくん:自転車通学で、学校まで15分くらいでした。
ケ:部活は何かしていましたか?
Oくん:硬式テニス部に入っていました。女子テニス部は強かったんですけど、男子は幽霊部員ばかりの弱小でした。僕は、朝にも30分は自主練習をしていましたが、それでもテニスコートを通る時はかなり肩身の狭い思いをしていました(笑)県大会に出られたらラッキーなレベルで、3年の夏の大会で引退しました。たしか6月くらいまでだったと思います。
ケ:部活をやっているときから塾に通っていましたか?
Oくん:部活引退まで塾には行かなかったです。学校の授業と部活を週5日間頑張っていました………弱小でしたけど(笑)
授業
モネ:高校での授業の様子はどうでしたか?
Oくん:教科書や先生自作のプリントを使って勉強していました。ばりばりの進学校ではなかったので学年の半分が大学に、半分が短大や専門学校へ進学する感じでした。
ケ:受験勉強は自分の進路志望に合わせて各自で進めることになるんですか?
Oくん:授業は3年間かけて教科書を終えるペースで進んでいたので、入試に間に合わせるためには授業より早く自分で勉強する必要がありました。
進路選択
モ:進路を決めるときに、迷ったりはしませんでしたか?
Oくん:実は、いわゆる文転をしてまして、理系から文系に変わったんです。文理選択のときは理系科目が苦手だったんですが、建築の勉強をしたいと思っていたので理系を選択しました。頑張れば理系もできるようになるだろうと甘く考えていたんですが、しょっぱい結果になりました(苦笑)
モ:どうして建築を学びたいと思ったんですか?
Oくん:友だちのお父さんが建築家だったり、安藤忠雄さんのインタビュー記事を読む機会があったりして、建築に興味が出てきました。
モ:文系への転向を決意したのはいつだったんですか?
Oくん:高3で本格的に授業についていけなくなってからですね。建築以外には、本や図書館も好きだったので司書の資格を取れる学部を志望することにしました。でも文系クラスにいくことはできず、理系クラスのまま授業を受けることになりました。
ぼ:入試はどの科目で受験したんですか?
Oくん:現役の時は数学、国語、英語です。元理系なのに数学がモノにならなくて浪人の時は数学を政治経済に変更しました(笑)
ぼ:政経だと受験できる大学が絞られませんか?
Oくん:意外とそうでもなくて、公民でも受験可能な大学が結構あるんです。
現役生から浪人生へ
ぼ:現役の時に合格した大学はありましたか?
Oくん:いえ、ありませんでした。
ぼ:現役生の時から志望校に合格しなかったら浪人する覚悟があったんですか?
Oくん:覚悟というよりは、受験科目を数学から社会に変えたらもっと上を目指せる気がしていたので、浪人したら早稲田を目指そうと思っていたんです。早稲田の国語の過去問を解いた時に、勉強したら手が届くかもしれないという感覚があったんです。だから前向きな浪人でした。
ぼ:浪人前に早稲田のレベルを意識できたのがよかったんだろうね。これは僕の先生の受け売りになってしまうけど、合格に必要なレベルがわかっていると、そこに向けてやるべきことが明確になるので、受験の結果に繋がりやすいそうです。最初の目標を低めに設定していた人が模試で点が取れるようになってきて、秋頃に志望校のレベルを上げようと思っても、全ての受験科目でより上のレベルの問題を解かなければいけなくなるから苦労する人が多いそうです。最初から高い目標設定をして、そこに向けて最善の努力を続ければ、そこに到達できなかったとしても選択肢が必ず広がる。難関レベルになればなるほど1点多く取ることがどれだけ難しいか気付く日がくるし、それに気付く頃には後戻りできない時期になっている。だから最初から高い目標設定をして勉強する方がいいよ、と言われたのを鮮明に覚えています。
Oくん:それは正しい気がします。過去問も早めに解いておくと、自分の実力とどれだけ差があるか分かりますし、目標は妥協なく高く設定して、それに向けて最善の努力をしていくことが大事だと思います。
予備校
ケ:部活を引退した後は、予備校に通われたんですか?
Oくん:兄姉が通っていたのと同じところに行きました。現役の時は数学・国語・英語の講座をとり、浪人してからは公民と英語の講座をとって、国語は夏期講習の講座や某有名通信教育で学んでいました。予備校のテキストや自分で問題集を買って勉強することもありました。
ぼ:浪人してから、成績は上がりましたか?
Oくん:英語は浪人になってから上がりました。政経は高校時代に授業も受けていませんし、本当にゼロからだったので右肩上がりでした。
ぼ:ゼロからはじめた政経は苦労したんじゃないですか?
Oくん:政経は予備校でみっちり授業を受けて勉強したので、最終的に上々の仕上がりになりました。浪人当初は模試でも点が伸びず苦労しましたが、当然のことなのでそこまで不安はありませんでした。
浪人中の時間の使い方
ケ:浪人中の時間の使い方はどういう感じだったんですか?
Oくん:9月頃まで予備校に近い喫茶店で、バイトをしていました。ルーティン作業があると生活リズムができていいと思ったんです。何も決まったものがないと、ついだらだらしちゃいますし。
ケ:1日中授業があるわけではなかったんですね。
Oくん:何個か取りたい講座を取って、空いた時間に自習していました。わからない時は予備校の先生に質問することもありましたが、ほぼ自力で勉強していました。
ケ:バイトを辞めてから生活リズムの維持はどうしていたんですか?
Oくん:朝はグズグズしたりはするんですけど、とにかく予備校の自習室に行ってしまえばやる気が出てきたりするので、予備校に行くようにしていました。
ぼ:Oくんも、ある環境に身を置くことで勉強するスイッチを入れるパターンの人だったんですね。合格者に話を聞くと「環境スイッチ」を利用する人が多い傾向にあるみたいです。
Oくん:そうなんですか!? 僕の場合は、ひとつの環境だけだと飽きてしまうので、毎日、場所を変えて勉強していました。午前は自習室、午後は図書館のように、やる気が落ちてきたら環境を変えてやる気を復活させていました。長時間、集中力を維持することができない僕みたいな人にはオススメです。
モ:疑っているわけではありませんが、図書館では勉強をしていたんですか?
Oくん:勉強したり、しなかったりでした。なんかバレてますね(笑)社会の勉強にこじつけた本を読むこともありましたけど、自分の好きな小説を読むときもありました。受験直前まで読書は続けてしまいましたが、結果的には合格したので受験にも読書の効果はありました…と、こじつけておきます(笑)
得意科目国語~テクニックはセンスの裏付け~
ぼ:読書を好きな人は国語を得意とする人が多く、そういう人のことをセンスがあると言ったりしますが、やっぱり国語が一番得意でしたか?
Oくん:そうですね。自分でいうのもなんですが、そのタイプに近いと思います。
ケ:私はテクニックで国語を解く派なんですが、予備校でテクニックを教わりませんでしたか?
Oくん:テクニックもとても重要だと思います。評論では逆説を表す接続詞を囲むといいとか、他にも色々なことを予備校で教えてもらいました。テクニックを学ぶ前は感覚的に、なんとなく解いているだけだったのが、テクニックを使うことで自分が考えている答えの裏付けがとれるようになり、自信をもって回答できるようになりました。テクニックを学ぶことができて本当に良かったと思っています。
オススメ勉強法国語
ケ:国語でオススメの勉強法はありませんか?
Oくん:国語は漢字をちゃんと勉強するといいですよね。なんとなく読めたり書けたりはするんですけど、漢検とかできちんと勉強すると、やっぱり違います。
ケ:漢検は学校でやっていたんですか?
Oくん:いえ、読書を楽しむために個人的に2級を受験しました。漢字が読めると、難しい漢字や古い漢字を使っている文章でもスムーズに読めるようになって、イライラせずに読書ができるようになるんです。たまに読めない字が出てくると、それがストレスになって読書そのものが楽しめなくなったりするので、高校のときに受験しました。
モ:いつ頃から本が好きになりました?
Oくん:中3の頃に通っていた塾に本がたくさん置いてあったので、なんとなく手にとって読んでみたんです。その本が面白くて、本の世界に惹きこまれました。
モ:中学の時から国語は得意だったんですか?
Oくん:いや、得意ではなかったですね。僕の場合は漢字も勉強しましたけど、気付いたときには国語が得意になっていたので、やっぱり読書って大事なんだと実感しましたね。
モ:読書ペースはどうやって保っていたんですか?図書館によく行っていたとか?
Oくん:意識的に保とうとしていたわけではなく、何か読みたい本があったら読む感じでした。図書館に行ったり、兄や姉に借りたりしていました。
ぼ:高校生にオススメの本はありますか?
Oくん:恩田陸さんの『ネバーランド』や他にも『象と耳鳴り』など、短編集もオススメです。教科書とかにもよく載っている方ですけど内田樹さんのエッセイ『日本辺境論』や『下流志向』もいいと思います。特に『下流志向』のほうが文章はわかりやすいと思います。この質問が出てくるならしっかりオススメ本の準備をしたかったですね。
オススメ勉強法社会~正統派+読書~
ケ:社会はどのように勉強したらいいと思いますか?
Oくん:僕の場合、予備校時代からの話になってしまいますが、教科書を何回も読んで、予備校の授業を聞いて、授業で聞いた箇所をまた教科書で読んで、その後に問題を解いての繰り返しでした。だから、特別なことはしていないと思います。あと、勉強としてやっていたわけではないんですけど、本や新聞を読んでいると時事が結構分かったりしていいことが沢山あります。公民は範囲があやふやで、どこまでやればいいというのがないんです。いろんな本を読んで自分のなかに知識を蓄えておくと、それを使って問題が解けたりします。
ケ:初歩的な質問なんですが、解答は漢字で書けないとダメなんですか?
Oくん:漢字は書けないとダメですね。記述の解答は難しい語彙とか単語とかも書けないとダメなんです。でも、暗記しなければいけないことが日本史や世界史の半分くらいだと思うので、覚えること自体は少ないと思います。
オススメ勉強法英語
ケ:英語はこれをやったから学力が伸びましたというオススメ勉強法はありますか?
Oくん:英単語は音読を沢山するといいと思います。浪人中は『速読英単語』(Z会)を使っていましたけど、その単語を音読していました。
ケ:どのように音読していたんですか?
Oくん:人から教えてもらった方法なんですけど、1日20個とか決めた数だけ音読して、それを3日後と1週間後と2週間後にも同じ単語を音読します。それを毎日やっていくと、最終的に1日に100個くらいを音読しないといけなくなるんです。でも、忘れる前に音読で思い出せるから、やりきったときには大体全部覚えられました。
モ:音読するのは英単語だけですか? 書いたりはしないんですか?
Oくん:単語と意味を1対1の対にして音読します。書くと時間がかかるし、第一志望の早稲田の入試に綴りは必要なかったので、そこまで神経質に覚える必要がなかったんです。自分の発音が思い出せて、書いてある単語がそれっぽかったら、「あれだ!」とわかれば問題なかったんです。
ケ:志望校の過去問を見て、英単語の綴りは割りきっていいと考えたんですか?
Oくん:いえ、覚え方を先に教えてもらった後に、スペルの暗記をどうするか考えるときがきたんですけど、書けなくてもいいかなって自分で勝手に思っただけです。
ケ:音読は自室でやっていたんですか?
Oくん:寝る前だと忘れにくいと聞いたので、寝る前に時間を作って毎晩ブツブツとやりました。単語が増えてくると30分くらいかかりました。
モ:サボってしまうことはなかったんですか?
Oくん:この日にこれをやるって単語帳に日付を書いていくのでさぼれなかったです。実は、単語帳は姉から貰ったんですけど、その時に裏表紙にここからここまでは何日って全部スケジュールが書いてあってその通りに進めたんです。だからサボれませんでした。でも、最初にスケジュールを立てておけたのはとてもよかったです。やる気がなくても、勉強を強制してくれるので(笑)
メッセージ
ケ:浪人する人にメッセージをお願いします。
Oくん:浪人って結構楽しいから、行きたいところがあるならしてみたらいいんじゃないかな。まだ伸びそうだと思ったら前向きに浪人したらいいと思いますよ。
ケ:現役のときに早稲田の問題を見ていけそうと思ったのと、社会はやったら伸びるだろうなって確信があったから迷わなかった感じですよね。
Oくん:浪人は積極的にしようと思っていましたから迷わなかったですね。
ケ:高校時代に手厚いフォローをしてもらっていた生徒は、浪人しても成績が伸びにくいと聞きます。フォローがなくなった途端に遊んでしまうこともあるそうです。
Oくん:楽しすぎて遊んでしまうのはダメですけど、勉強するか遊ぶか決めるのはその人の意思なので。僕はやってない事がたくさんあって、自分の中で浪人中にやる事が明確に見えていました。これをやったらもうちょっと伸びるという目途が自分のなかであったので、浪人に対して否定的に受け止めていなかったです。
自分のタイプを一言でいうと?
ケ:最後に、自分のタイプをひと言でお願いします。
Oくん:行き当たりばったりです(笑)理系に進んだのに、最終的に理系科目を入試に使い…使えませんでしたし、こりゃいかんと思いました(笑)それでも親はずっとほっておいてくれたのでとても助かりました。こんな僕でも早稲田に合格することができたので、可能性をひとつずつ拾っていくことが重要なんだと思います。