2025年共通テスト速報<分析>

数学II,数学B,数学C

総評
  • 今年度の共通テストは,新課程に対応した初めての試験であった。
  • 問題構成は,大問7問(第1問,第2問,第3問は必答,第4問~第7問から3問選択)であり,中問形式の出題はなかった。
  • 配点は,試作問題と同じく,第1問,第2問が各15点,第3問が22点,第4問~第7問が各16点であった。
  • 試作問題と同様に新課程から新たに加わった仮説検定についての問題が出題された。また,試作問題とは異なり,第7問は「複素数平面」のみの出題で,「平面上の曲線」の出題はなかった。
  • 数表を除いた問題文の分量は,昨年の共通テストより増加(26頁→33頁)したが,試作問題に比べると問題文の分量も問題数もやや減少した。
  • 昨年と同様に,正しいグラフを選ぶ問題が出題されたが,文章で書かれた選択肢から選ぶ問題は昨年に比べ減少した。
  • 日常生活での活用場面を想定した問題が今年は第2問と第5問で出題された。
  • 問題文の誘導が丁寧である点は昨年と同様であり,過程の計算結果が示されている問題も多く,昨年に比べ計算量は減少した。
  • 全体の難易度については,昨年と同程度であったと思われる。ただし,選択問題の配点が20点から16点へと変わったことで,大問1問あたりの分量が調整された。
  • 選択問題の中での難易度差については,大きな差はなかったと思われる。
第1問(必答問題)
配点15点
三角関数(三角関数を含む方程式)
教科書章末問題を超えるレベル。
(1)は単位円とα,βの動径を考えることで,サインのみの方程式の解を求める問題。単位円から読み取れることをα,βの関係式に変換し,方程式に活かせるかが問われた。
(2)は(1)と同じ形のコサインのみの方程式の解を求める問題。(1)の内容を理解し,自分の力で解法を再構築できるかが問われた。
第2問(必答問題)
配点15点
指数関数と対数関数(常用対数の活用)
教科書章末問題レベル。
一定の割合で増える水草が,数日後にある割合以上に増えないようにするにはどうすればよいかを考える問題。
(1)は1日ごとの水草の増加倍率に関する問題。設定を正確に理解し,常用対数表の使い方や,対数の基本的な計算ができれば問題なく解答できる。
(2)は14日後の水草の量が60%を超えないような水草の量を求める問題。(1)と同様に解き進められるが,最後の設問では,常用対数の値から対応する真数の値を読み取ることも要求されたため,差がついた可能性がある。
第3問(必答問題)
配点22点
微分法と積分法(関数の値の変化,不定積分,定積分,面積)
教科書章末問題レベル。
導関数がf(x)で一致する2つの関数F(x),G(x)の極値に関する問題。
(1)は極値や不定積分に関する問題で平易。
(2)は2つの関数F(x),G(x)の極値やグラフの概形に関する内容が問われた。3次関数の増減と導関数のグラフの関係や,定積分と面積の関係など,基本的な内容をしっかり理解できていれば,最後まで詰まることなく解答できたものと思われる。関数や極値を定積分で表す(ソ)~(ツ)や,定積分と面積の関係を問う(テ),(ト)については,共通テストでよく見られる出題形式と言えるだろう。最後の(ナ)についても,F(x)とG(x)が積分定数の違いしかないことに着目し,y軸方向へのグラフの平行移動をイメージできれば難なく解答できただろう。
第4問(選択問題)
配点16点
数列(格子点の個数)
教科書章末問題を超えるレベル。
与えられた領域の内部にある格子点の個数について考察する問題。
(1)は具体的な数え上げに始まり,等差数列の和に関する問題で平易。
(2)では指数関数のグラフ,(3)では放物線を考えるが,方針は(1)と同じであり,丁寧な誘導がついているため,数列の基本的な内容を理解できていればスムーズに解答できたものと思われる。なお,漸化式に関する問題は出題されず,等差数列とその和,等比数列とその和,数列の和の公式の内容にとどまった。
第5問(選択問題)
配点16点
統計的な推測(母平均の推定,仮説検定)
教科書章末問題レベル。
収穫されたレモンの重さの分布に関する問題。
(1)は正規分布,二項分布の確率や期待値の基本的な計算問題。
(2)は母平均の推定における信頼区間の幅を一定以下にするための標本の大きさを求める。難易度も標準的であり,丁寧な誘導が用意されているため,信頼区間の公式さえ覚えていれば解答に困る部分はなかったと思われる。
(3)は母平均に対する仮説検定の問題である。帰無仮説,対立仮説の定義の正しい理解を始めとした典型的な内容であるが,片側検定が出題されたことに注目したい。
第6問(選択問題)
配点16点
空間のベクトル(空間ベクトルの内積,空間ベクトルと図形)
教科書章末問題を超えるレベル。
球面上の3点を結んで作る三角形が正三角形となるように点がとれるかどうかを考察する問題。
(1)では内積を利用してベクトルの成分が満たす方程式を導く。
(2)(3)では(1)で導いた方程式の実数解の個数に基づいて,正三角形となる点の個数を考察する。ベクトルの問題というよりは,方程式の問題といえる内容であった。
第7問(選択問題)
配点16点
複素数平面(複素数と図形)
教科書章末問題レベル。
複素数平面上の2直線が垂直に交わる条件について考察する問題。
(1)は,複素数の偏角に関する問題。複素数の計算が主で易しい。
(2)では,2直線が垂直に交わる条件を,wと共役複素数の和の条件でどのように表されるかが問われ,(3)では,2直線が垂直に交わるような点z全体の軌跡が問われた。国公立2次試験や私立大入試で頻出の内容であるため,十分に対策ができていた理系の生徒は難なく解けたものと思われる。(3)の(ii)(iii)は,これまでの内容を振り返って,設定を少し変更した場合を考察する。(3)(i)の結果を踏まえて素早く正解を選びたい。

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