2025年共通テスト速報<分析>

数学I,数学A

総評
  • 今年度の共通テストは,新課程に対応した初めての試験であった。
  • 問題構成は,大問4問(全問必答)であった。また,昨年と同じく,第1問,第2問ともに2つの中問形式で出題された。
  • 配点は,第1問,第2問が各30点,第3問,第4問が各20点であった。また,第1問の中問の配点は,〔1〕が10点,〔2〕が20点,第2問の中問の配点は,〔1〕,〔2〕ともに15点であった。
  • 問題文の分量は,昨年の共通テストよりやや増加した(25頁→27頁。旧課程「整数の性質」,下書き用紙除く)。
  • 試作問題でも出題のあった,外れ値や仮説検定の考え方,期待値など新課程特有の問題が出題されたが,全体的な難易度は昨年と同じ程度であった。また,全体的に,昨年と同じく,誘導が丁寧で解きやすかったと思われる。
  • 第1問〔2〕,第2問〔1〕では対話形式となっていたが,昨年同様,対話部分の文章は少なく,解法の指針を示すもの,新たな問いを投げかけるものであった。また,第2問,第4問では日常生活での活用場面を想定した問題が出題された。
  • 第1問〔1〕では,数学Ⅰ,数学Aとしては2022年以来3年ぶりに必要条件・十分条件を判定する問題が出題された。また,図形の性質では,共通テストが開始されて以来,初めて空間図形の内容が出題された。
第1問
配点30点
〔1〕 数と式(方程式,必要条件・十分条件)
教科書章末問題レベル。
a,bを含むxの2次方程式について,与えられたa,bの値をもとに式を変形し,解を求める問題。
(1),(2)はいずれも因数分解の結果が問われている。また,(2)(ii)では,分母の有理化についても出題されている。
最後には必要条件・十分条件を判定する問題も出題されているが,基本的な内容なので,解き切りたい問題であった。
〔2〕 図形と計量(三角比)
教科書章末問題を超えるレベル。
平面上の2つの円に関する,円の中心,交点,共通接線との接点などからつくられる三角形について考察する問題。
(1),(2)は誘導が丁寧であるものの,得られた等式をうまく利用しながら外接円の半径の長さを求めたり,2つの円の半径の関係式などを導いたりする必要があるため,難しく感じた受験生もいたかもしれない。
(3)は(1),(2)の結果をふまえ,正弦定理,余弦定理を利用することに気がつくことができるかがポイントであった。
第2問
配点30点
〔1〕 2次関数(2次関数の決定)
教科書章末問題レベル。
日常生活の事象を数学に落とし込んだ問題で,噴水の水がえがく曲線を題材としている。問われているのは,放物線とx軸との交点や頂点のy座標等であり,短時間で解き切りたい問題であった。
(1),(2)ともに,放物線を表す2次関数を文字定数を用いて立式し,放物線が通る点の座標を利用することで2次関数を決定する問題であったが,立式の仕方によっては計算量に差が出ただろう。
〔2〕 データの分析(散布図,外れ値,分散,仮説検定の考え方)
教科書章末問題レベル。
実社会のデータを基に作成した図から情報を読み取る形式は,昨年までの共通テストと同じである。教科書にある散布図の読み取りなど,基本的な内容も問われている。
問題文が長く,全体を通して問われている内容は幅広いが,それぞれが独立した小問集合のような問題であったため,比較的解きやすかったものと思われる。
(1)(i)は,与えられた記述の正誤の組合せが正しいものを選ぶ問題であった。
(2)は,分散と共分散の定義をしっかり把握しているか,相関係数が正であることから共分散が正であることに気づけるかがポイントであった。
(1)(ii)は外れ値,(3)は仮説検定の考え方と新課程の内容を問う問題が出題された。外れ値,仮説検定の考え方のどちらも試作問題と同様の問題であり,類題を解いたことがあるかどうかで差が出ただろう。
第3問
配点20点
図形の性質(直線と平面,円に内接する四角形,方べきの定理)
教科書章末問題を超えるレベル。
四面体の1つのかどが切り取られた形の五面体が題材。目新しい空間図形の出題で戸惑った受験生もいたかもしれないが,問題文の誘導が丁寧であったため,解き終わってみれば昨年までの平面図形の問題より易しく感じられたと思われる。
(1)の(ア),(イ)は,それぞれ直線AD,直線BEを含む平面を選べばよく易しい。
(2)(i)(ii)は,五面体の一部の辺の長さが与えられたとき,円に内接する四角形の性質,三角形の相似や方べきの定理を利用して,他の辺の長さを求める問題。問題文の随所に丁寧な誘導が付けられており,誘導にしたがって解き進めていけば難なく解くことができただろう。(iii)の3つの命題の真偽の判定はやや難しかったと思われる。直線や平面に関する垂直の定義など,教科書本文の内容をきちんと理解できているかどうかが問われた。
第4問
配点20点
場合の数と確率(期待値)
教科書章末問題レベル。
くじ引きゲームの参加料は何円にするのが妥当かを題材とした問題で,新課程から新たに追加された期待値が出題された。
くじ引きの問題ではあるが,くじの本数や引き方などが問題文で与えられず,困惑した受験生もいたかもしれない。しかし,問題文で与えられた確率を正しく理解できれば,誘導が丁寧なので問題なく解けただろう。
(2),(3)は期待値を求めることで参加料が妥当であるかを判断する問題であった。旧々課程までは与えられていなかった表が問題で与えられ,表を正しく埋めることができれば問題なく解けただろう。

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