2024年共通テスト速報<分析>

数学I・数学A

総評
  • 問題構成は,昨年と同じく,大問5問(第1問,第2問は必答,第3問~第5問から2問選択)であった。また,昨年と同じく,第1問,第2問ともに2つの中問形式で出題された。
  • 配点は,昨年と同じく,第1問,第2問が各30点,第3問~第5問が各20点であった。また,第1問の中問の配点は,〔1〕が10点,〔2〕が20点,第2問の中問の配点は,〔1〕,〔2〕ともに15点であった。
  • 問題文の分量は,昨年の共通テストより増加した(26頁→29頁。下書き用紙除く)。
  • 思考力を要する問題も出題されたが,設定がそれほど煩雑ではなかったため,全体的な難易度は昨年と同じ程度であった。また,全体的に,昨年と同じく,誘導が丁寧で解きやすかったと思われる。
  • 第1問〔1〕,第3問では対話形式となっていたが,対話部分の文章は少なかった。また,第1問〔2〕,第2問〔2〕では日常生活での活用場面を想定した問題が出題された。
  • 図形と計量(第1問〔2〕)では,正弦定理,余弦定理の内容がなく,三角比のみで解ける問題であった。
  • 選択問題については,第4問が第3問,第5問に比べると,解きにくかったと思われる。
第1問(必答問題)
配点30点
〔1〕 数と式(式の値)
教科書章末問題を超えるレベル。
整数部分,小数部分に関する問題。
前半のアについて,「3<√13<4」から「6<2√13<8」としても①を満たすnが絞り込めないことに注意が必要である。
後半は√13の小数第2位まで求める問題であるが,誘導が丁寧なので解き切りたい問題であった。
〔2〕 図形と計量(三角比)
教科書章末問題レベル。
題材は電柱の影と坂であり,三角比の表を用いる問題であった。内容としては,三角比に関する問題であり,垂線を引いて,直角三角形を見つけることができるかどうかがポイントであった。
最後の設問(テ~二)は,CDを直接求めようとすると考えにくいが,CDに関する等式を導くことができれば難しくはない。
第2問(必答問題)
配点30点
〔1〕 2次関数(2次関数の最大と最小,2次不等式)
教科書章末問題レベル。
台形の辺上を動く点によって作られる面積の問題。典型的な問題であり,短時間で解き切りたい問題であった。
(2)は,自分で変数tを設定し面積を式で表すことで,最大値と最小値を求める問題である。(1)で1秒後の面積を具体的に求めており,t秒後の面積も同様に考えればよい。
(3)は,3秒後の前後で面積の式が変わることに気づく必要がある。
〔2〕 データの分析(ヒストグラム,代表値,箱ひげ図,散布図,相関)
教科書章末問題レベル。
実社会のデータを基に作成した図から情報を読み取る形式は,昨年までの共通テストやセンター試験と同じである。教科書にあるヒストグラムや箱ひげ図の読み取りなど,基本的な内容が問われている。
問題文が長く,全体を通して問われている内容は幅広いが,それぞれが独立した小問集合[(1)(i):ヒストグラムと代表値,(1)(ii):箱ひげ図の読み取り,(2):散布図と相関]のような問題であったため,比較的解きやすかったものと思われる。
(1)(iii)は,A,Bそれぞれのデータの平均値,標準偏差をもとにzの値を求める問題であり,ベストタイムが速くてもzの値で小さいとは限らない点に注意が必要である。
(2)は,与えられた記述の正誤の組合せが正しいものを選ぶ問題であった。
第3問(選択問題)
配点20点
場合の数と確率(場合の数,確率)
教科書章末問題を超えるレベル。
箱の中から文字が書かれたカードを1枚を取り出し,確認してから戻すという試行を題材とした問題。昨年と同様,条件追加などがあり,共通テストらしい問題であった。
なお,条件付き確率は出題されなかった。
(1),(2)は問題文で定義されている「そろっている」の意味を正しく把握できれば,誘導が丁寧なので問題なく解けただろう。
(3)は(2)の結果をうまく利用することがポイント。対話から方針を理解すれば,場合分けの誘導もされているので解き切るのも難しくない。
第4問(選択問題)
配点20点
整数の性質(n進法,最小公倍数,1次不定方程式)
教科書章末問題を超えるレベル。
3進数,4進数,6進数を3桁まで表示するタイマーに関する問題。見かけない問題設定であったため,戸惑った生徒もいたかもしれない。
(1)記数法の変換に関する基本的な問題。10進数⇔n進数の変換ができれば問題なく解答できたと思われる。
(2)記数法の変換と最小公倍数を求める計算というオーソドックスな問題であるが,タイマーの表示が「000」に戻る条件などを問題文から読み取る必要がある。
(3)1次不定方程式に関する問題であることに気が付けるかがポイントである。また,特殊解を見つけるのに苦労した生徒もいたかもしれない。最後の選択問題は,整数の特性に着目して考えることができれば,問題なく解答できたものと思われる。
第5問(選択問題)
配点20点
図形の性質(メネラウスの定理,方べきの定理)
教科書章末問題レベル。
星形の図形に関する問題。見慣れない図形で戸惑うかもしれないが,必要な部分だけを抜き出せば解きやすい。
(1)は誘導が丁寧であり,メネラウスの定理を理解できていれば問題なく解答できたと思われる。
(2)の(i)は方べきの定理を利用することに気づけば,難なく解ける。
(ii),(iii)は,点と円の位置関係を考察する問題。(ii)で,方べきの定理を利用して,点と円の位置関係を考える誘導が理解できれば問題なく解き切れる。
(iii)は誘導がないが,(ii)と同様の方針で解けることに気付けるかがポイント。

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