2022年共通テスト速報<分析>

数学II・数学B

総評
  • 問題構成は,昨年と同じく,大問5問(第1問,第2問は必答,第3問~第5問から2問選択)であった。
  • 第1問,第2問は2つの中問形式で出題された。(昨年の第2問は大問形式であった。)
  • 配点は,昨年と同じく,第1問,第2問が各30点,第3問~第5問が各20点であった。また,第1問の中問の配点は,〔1〕,〔2〕ともに15点,第2問の中問の配点は,〔1〕が18点,〔2〕が12点,であった。
  • 問題文の分量は,昨年の共通テストより増(19頁→25頁)であり,試行調査と同程度であった。対話形式の出題が増えたことも要因であると思われる。
  • 計算量は昨年の共通テストよりやや多くなった。昨年同様,選択肢から答えを選ぶ問題は多かった。
  • 文章量と計算量の増加により,時間的な制約が厳しいものと思われる。
  • 数列では日常生活での活用場面を想定した問題が出題された
  • 図形と方程式および数列で,同一の問題に対する2つの解法が対話形式で記述されていることも特徴として挙げられる。
  • 選択問題の難易度については,第3問~第5問で大きな差はなかったが,第4問の「数列」が最も取り組みにくかったかもしれない。
第1問(必答問題)
配点30点
〔1〕 図形と方程式,三角関数(円の接線,領域,2直線のなす角)
教科書章末問題レベル。
(1)は教科書本文レベルの内容で,与えられた不等式を変形するだけで答えが得られる。
(2)は(1)の結果をもとに,定点を通る直線が領域と共有点をもつ場合を考える。
領域と直線が接する場合に着目するが,太郎さんは方程式,花子さんは三角関数を用いている。
複数の解法で考察する共通テストらしい出題形式であった。tanの2倍角の公式を用いる程度であり,取り組みやすかったと思われる。
〔2〕 指数関数・対数関数(2つの対数の大小関係)
教科書章末問題を超えるレベル。
対数の大小関係について,太郎さんの考察にしたがって考える誘導問題。
(1)は対数の計算を通じて,(2)以降の導入となっている。
(2)は(1)の考察をもとに推測した式が成り立つことを,文字を使って確かめている。
(3)は(2)の考察をもとに不等式が成り立つ条件を考察している。ここまでは難しいところはないので,しっかりと解答したい。
(4)は具体的な対数の値の大小関係を考える問題。(3)の結果をどのように利用するかが難しい。
第2問(必答問題)
配点30点
〔1〕 微分法と積分法(3次関数のグラフ,方程式の実数解の個数)
教科書章末問題を超えるレベル。
3次関数のグラフと直線の共有点の個数から,実数解の個数を考える問題。
(1)は文字係数を場合分けして,3次関数のグラフの概形を選ぶ。
(2)は3次関数のグラフと直線y=pの共有点の個数について考察する。極値の計算は素早く処理したい。
(3)は3次関数のグラフとx軸の共有点の個数に着目して,3次方程式の実数解の個数を考える。(1)がヒントになっている。反例を見つけて選択肢を絞り込めば,それほど難しくはない。
〔2〕 微分法と積分法(3次関数のグラフで囲まれた図形の面積)
教科書章末問題を超えるレベル。
文字係数の3次関数のグラフで囲まれた図形の面積を考える問題。
グラフの上下関係を把握するため,図をかいて考えていけば前半は平易である。
S-Tの積分計算があり,昨年に比べて計算量が増加しているが,センター試験とほぼ同程度。
S=Tとなるtの値は,S-T=0から得られる3次方程式を解くことで得られる。
第3問(選択問題)
配点20点
確率分布と統計的な推測(二項分布,正規分布,確率変数とその変換,確率密度関数)
教科書章末問題レベル。
収穫されるジャガイモの個数や重さについて考察する問題。
(1)は二項分布の期待値を求める基本的な問題で易しい。
(2)は変数の変換と正規分布による近似の問題。典型的かつ標準的な内容であるが,小数どうしの掛け算がやや煩雑である。
(3)は連続型確率変数に関する問題。定積分を用いて確率や期待値を考察し,確率密度関数を決定する標準的な内容である。指数の計算がやや複雑であるため,時間を要した生徒もいたかもしれない。
第4問(選択問題)
配点20点
数列(漸化式の立式)
教科書章末問題を超えるレベル。
歩行者と自転車の動きについて,位置や時刻を考察する問題。
(1)は具体的な誘導に従い,2つの漸化式を考察し一般項を求める問題。与えられた会話文やグラフをもとに漸化式を考察することがカギになる。漸化式を求めたあとは,等比数列や階差数列を用いて一般項を求める典型的な内容となっている。文章量が多いため,難しく感じるかもしれないが,誘導に従い丁寧に処理していけばさほど難しい問題ではない。
(2)は自転車が歩行者に追いつく回数と追いつく時刻を(1)を利用して考察する問題。やや複雑であり,難しかったかもしれない。
第5問(選択問題)
配点20点
平面ベクトル(内積)
教科書章末問題レベル。
平面上の点に関する条件が与えられ考察していく問題である。誘導が丁寧であるから,誘導に沿って解いていけばよい。計算量は例年に比べて少なく,難易度もそこまで高くない。
(1)は実数k,tを用いてベクトルを表す問題。2つの文字を含む状態で式変形をしていくところは解きづらく感じる生徒もいると思われる。
(2)は条件をもとに,与えられた点の存在範囲を考察する問題。kの符号に着目し図形的な意味を考えればよい。
(3)は太郎さんと花子さんの対話をもとに,直線OAに関する対称点を考える問題。

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