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2013年センター試験速報<分析>

数学II・数学B
総評 ・出題形式,配点は昨年と同じであった。しかし,第1問〔1〕が従来の「三角関数」の分野ではなく,「図形と方程式」の分野であった。
・難易は昨年とほぼ同じ。問題量,計算量も昨年並みで,昨年と同様に少なめであった。平均点は60点に近いものだと思われる。
・全体的に問題文の誘導が丁寧である。誤解を招くような誘導もなかったと思われる。
・近年の傾向であった分野融合問題について,第1問〔2〕で「指数・対数関数」と「高次方程式」に関する問題が出題された。また,選択問題である第4問の「ベクトル」では,弧度法を用いた「三角関数」に関する設問が特徴的であった。
・選択問題の難易度の差は大きくなく,選択した問題による影響はほとんどなかったものと思われる。
第1問(必答問題)
配点30点
〔1〕 図形と方程式(垂直二等分線と3点を通る円の方程式)
教科書本文レベル。
従来の「三角関数」の分野からの出題ではなく,「図形と方程式」の分野からの出題であったため,戸惑った生徒も多かったのではないかと思われる。ただし,出題内容は,内分点・外分点の座標,垂直二等分線の方程式,3点を通る円の方程式など,比較的易しい。また,2つの垂直二等分線の交点が円Cの中心であることが記述されているなど,問題文の誘導が丁寧である。(3)の外分比を問う設問が目新しいが,点Rの位置を図に書くことができれば,容易に解くことができただろう。
〔2〕 指数・対数関数,高次方程式(3元連立指数方程式)
教科書章末レベル。
3元連立の指数方程式を解く問題。問題文に3次式(t-X)(t-Y)(t-Z)の展開についての記述があるため,指導要領の範囲外である「3次方程式の解と係数の関係」の公式を知らなくても,誘導にしたがって解き進めていくことができたと思われる。計算量も少ない。素早く確実に解きたい。
第2問(必答問題)
配点30点
微分法・積分法(3次関数の極値,接線の方程式,放物線と直線で囲まれた図形の面積)
教科書章末レベル。
3次関数の極値,放物線と接線の方程式,放物線と直線で囲まれた図形の面積,面積が等しくなる条件など,オーソドックスな出題内容である。その中でも,文字aの指数部分の数値をしっかり計算できているかどうかを問う設問形式が,本問の出題の特徴であった。放物線と直線に囲まれた図形の面積は,1/6(β-α)^3の公式を用いて素早く計算したい。面積SとTが等しくなる条件は,結果的に放物線と直線の交点のx座標についてのみ比較すればよいため,面積Tの計算を省くことで時間短縮することが可能である。
第3問(選択問題)
配点20点
数列(漸化式,数列の和,数学的帰納法)
教科書章末を超えるレベル。
前半は,p(n+1)=ap(n)+b型の2項間漸化式から一般項を求め,さらに第n項までの和を求める問題。教科書本文レベルに相当し,基本的で平易。
後半は,漸化式から一般項を推測し,その推測が正しいことを数学的帰納法を用いて証明する問題。数学的帰納法の出題は初めてであったため,戸惑った生徒が多かったと思われる。また,用語を答えさせる出題もあり,目新しい問題であった。丁寧な誘導がついているので,うまく誘導に乗ることがポイントであった。
第4問(選択問題)
配点20点
平面上のベクトル(内積,2直線の交点の位置ベクトル,三角形の面積),三角不等式
教科書章末を超えるレベル。
平面上のベクトルの出題は7年ぶり(2006年度以来)である。扱う図形は平行四辺形であり,登場する点も少なく,図が描きやすかった。また,計算量も少なく,例年より取り組みやすい問題であった。
(1)は内積に関する問題。基本的で平易。
(2)は三角不等式を解く問題となっている。cosθを含む分数不等式は目新しい問題であったが,丁寧な誘導がついていたため,平易な問題であった。
(3)は線分比と平行四辺形の面積から三角形の面積を求める問題。△BEFの面積を求める際に,△ABEの面積が平行四辺形OABCの面積の半分となることに気づけるかがポイントであった。
第5問(選択問題)
配点20点
統計とコンピュータ(資料の代表値,相関図)
教科書章末レベル。
(1)~(3)は国語と英語のテストの得点について,平均値,中央値,分散,相関係数,相関図を求める問題。数値が簡単で計算しやすい問題であった。また,(2)の連立方程式に関する出題は,一昨年からの新傾向の問題である。
(4)は新たに数学のテストの得点を加え,国語と数学のテストの得点の合計の分散を求める問題。分散の定義や和の処理をしっかり押さえていれば,誘導に従って解き進めることができる問題であった。
今年も代表値や相関図から読み取れる情報を問う出題はなかった。
第6問(選択問題)
配点20点
数値計算とコンピュータ(n進数)
教科書章末レベル。
例年と同様,プログラムの構成に関する問題と,プログラムを実行したときに得られる結果を計算させる問題がバランス良く出題されている。
3進数表示に関する問題であった。本題に入るまでの問題文が長く,その前置きの文を理解することに苦労した生徒が多いのではないかと思う。
プログラムの中で対数関数を使用しているのは初めてである。
(2)は,自然数の3進数表示を上の位の数から順に出力するプログラムと下の位から順に出力するプログラムの構成に関する問題。2つのプログラムを出題しているのが目新しい。
(3)は,自然数を3進数表示したものとそれを逆の順に並べたものが一致するか判定するプログラムに関する問題。(2)で構成したプログラムを利用し,プログラムを大きく変更していないため,易しい。最後の実行回数を問う問題の計算量も少なかった。

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