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2012年センター試験速報<分析>

数学II・数学B
総評 ・第1問〔1〕,〔2〕の配列が昨年入れ替わったが,今年再び入れ替わり,2年前までの配列に戻った。それ以外の出題形式,配点は昨年と同じ。
・難易は,昨年よりやや難化。平均点は50点に近いものだと思われる。
・今年は,昨年までやや軽めに設定されていた第1問,第2問の計算量が増えたことにより,数学Bの問題を解く時間にやや余裕がなかったのではないだろうか。
・昨年と同様,近年目立っていた分野融合問題の出題はなかった。
・選択問題に関して,第1問と各選択問題(第3~6問)の冒頭に注意書きが入った。
・選択問題の難易度の差は大きくなく,選択した問題による影響はほとんどなかったものと思われる。
第1問(必答問題)
配点30点
〔1〕 指数・対数関数(対数不等式)
教科書本文レベル。
対数不等式を,底が1より大きいか小さいかの場合に分けて解く問題。計算量は少ない。底の範囲に気をつけて不等式を変形すれば,容易に解くことができる。素早く確実に解きたい。
〔2〕 三角関数(三角関数を含む方程式,三角関数の最大・最小)
教科書章末を超えるレベル。
2つの解をαを用いて表す問題が誘導もなく解きにくい。全く見当のつかなかった生徒が多いのではないかと思う。等式をsinかcosのどちらかに統一し,等式を満たす角度の関係に着目するとよい。2つの解をαで表すことができれば,後半の問題は,やや計算量は多いが,比較的容易に解くことができる。2つの解をαを用いて表すことができるかどうかが,この問題のポイントではないだろうか。また,加法定理を一度も用いることのない問題であった。
第2問(必答問題)
配点30点
微分法・積分法(曲線の接線の方程式,放物線と直線に囲まれた面積)
教科書章末レベル。
(1)は,曲線の接線と放物線の接線が等しくなる条件から放物線の係数をaを用いて表す問題。(2)は,曲線と直線の共有点の個数を求める問題。どちらも易しい。(3)は,2つの放物線とx軸に囲まれた面積を求める問題。面積の計算が煩雑である。求める面積の図形の対称性を利用し,答の形から,2つの放物線の交点のx座標を2^n/3^mとして計算を進めると,やや楽に計算できる。
第3問(選択問題)
配点20点
数列と漸化式(等差数列とその和,和を含む漸化式)
教科書章末を超えるレベル。
前半は,等差数列の第2項と第5項から一般項を求め,さらに第n項までの和を求める問題。基本的で平易。
後半は,和を含む漸化式からb(n)の一般項を求める問題。誘導が丁寧につけられているのが,近年の出題の特徴である。標準的な内容であり,過去問を解くなどの対策をしておけば十分対応できる。Σの記号の意味,S(n+1)-S(n)=a(n+1)であることをきちんと理解できているかどうかが問われている。(チ),(ツ)の式変形に,戸惑った生徒もいたかもしれないが,出来上がりの式を展開,整理して係数を比較できれば,それほど難しくない。
(ニ)の指数部分を選択肢から選ばせる出題は,昨年からの新傾向である。
第4問(選択問題)
配点20点
空間のベクトル(2直線の交点,内積)
教科書章末を超えるレベル。
6年連続で,空間のベクトルに関する出題となった。
全体的に,難しい設問はないが,登場する点の数が多かったり,内積の計算がやや煩雑であるため,難しく感じた生徒もいただろう。
前半は,内分点の位置ベクトルの表示を利用して,2直線が交わることを証明する問題。図をかきながら,しっかり点の位置把握をしたい。(キ)~(コ)の出題も頻出である。必ずおさえておきたい。
後半は,内積に関する問題で,素早く計算できるかどうかがポイント。当然,内積が0になる項は省いて計算を進めたい。また,問題文中の式②のように,内積の値を与えている箇所があるが,解答時間への配慮であると思われ,その後の設問でそれらの値をきちんと使えるかどうかもポイントになる。
(ナ)~(ネ)も内積の定義式を理解できていれば,難しくないだろう。
第5問(選択問題)
配点20点
統計とコンピュータ(資料の代表値,相関表)
教科書章末レベル。
相関表から情報を読み取る問題や,平均値,分散,相関係数の値などを求める問題が出題された。相関表が出題されたのは2006年以来である。(3)の相関係数の値を求める問題では,共分散の値を計算する際に出てくる0でない項に意識を向けさせる,丁寧な誘導がつけられている。(4)の連立方程式に関する出題や,(5)の追加した40人の代表値に関する出題は,昨年からの新傾向の問題である。また,(6)のxの値ごとに平均値と中央値を比較する出題は目新しい。
代表値の意味を問う出題が今年はなかった。
第6問(選択問題)
配点20点
数値計算とコンピュータ(整数問題)
教科書章末レベル。
例年と同様,プログラムの構成に関する問題と,プログラムを実行したときに得られる結果を計算させる問題がバランス良く出題されている。
前半は,Mから始まるN個の連続する自然数の積が8で割り切れるかどうかを調べ,その結果を出力するプログラムに関する問題。(1)のプログラムの構成は比較的易しい。
後半は,N個の連続する自然数の積が2で最大N回割り切れるようなNの個数を出力するプログラムに関する問題。
(3),(5)のプログラムの変更についても,それほど難しくない。

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