総評 | 難易は昨年並みと感じたが,設問の中には若干難しいものや時間を要するものが見受けられた。 選択問題については,第4問(平面幾何)を選択すると証明の流れを理解するのに時間を要したと思う。ただ,見た目の文章量の多さから第4問(平面幾何),第5問(計算とコンピュータ)を避ける受験生が多かったであろう。難易についてはどの選択問題も同レベルと思われる。 なお,昨年からの変更点として,マークシート解答用紙の第2問に「A」~「G」の解答欄が付加された。 |
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第1問(必答問題) 配点40点 |
〔1〕 | 2次関数の最大・最小 (グラフとx軸の関係,頂点のy座標の最小値 教科書の章末問題レベルの問題。 誘導部分は,2次式の基本変形と,放物線が通る点を利用して解く問題で,a,bを定数とみなすことができれば教科書と同様に平易に解答を導くことができる問題である。 (1)は誘導部分で導いた頂点のy座標が0であることを利用すれば2次方程式に帰着される。 (2)は頂点のy座標をaの2次式とみて基本変形して解を導くことができる。 文字を係数に含む2次関数の問題に日頃から問題集等で演習している受験生にとっては難しいとは感じなかったのではなかろうか。 なお,弊社の発行本では,「三訂版 数学IA+IIB演習130 p.5問題8」などで,同様のタイプが演習できる。 |
〔2〕 | 確率と期待値(立方体の8頂点のうち3点からなる三角形) 教科書本文レベルの問題。 個数の処理,確率の入試問題としては頻出の問題。 (1)の設問にあるように,三角形が3種類[3辺の長さが(1,1,√2),(1,√2,√3),(√2,√2,√2)]であることを知っているか否かでこの問題に要する時間に差が出たかもしれない。 弊社発行の「三訂版ニューステージ数学演習IA+IIB p.25問題70」でこのタイプの問題を演習したことがある受験生にとっては時間を短縮できたのではなかろうか。 |
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2問(必答問題) 配点40点 |
〔1〕 | 整式の割り算,必要十分条件 (1)は実際に割り算をして,設問にあった条件式が容易に求められる。なお,整式の割り算について成り立つ恒等式を利用しても解が求められる。 (2)は絶対値のある式の変形自体はそれほど難しくはないが,必要十分条件の吟味に受験生は苦労したのではなかろうか。2つの条件について,必要,十分,必要十分などを選択させる形式は過去にもよく出題されたが,この形式はあまり見受けられない。 |
〔2〕 | 三角比の図形への応用 前半は教科書本文レベルの問題。数値が複雑なものの,余弦定理,三角形の面積の公式をきちんと適用できるかが問われた。後半は台形ADBCが等脚台形になることをイメージできるかどうかがカギとなった。 |
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第3問(選択問題) 配点20点 |
数列(等比数列,群数列) (1)は教科書本文レベルの問題。 等比数列の性質,和の公式がきちんと適用できるかが問われた。 (2)は教科書の章末問題レベルの問題。 群数列(項を区分けする数列)としてはそれほど難しくなく,第何区画の第何番目の項であるかという意識をしっかりもっておけば,数列の和(シグマ)の公式を利用できる。群数列は1999年にも出題されており,過去問や種々の問題集で演習している受験生にとってはそれほど苦労しなかったはずである。 |
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第4問(選択問題) 配点20点 |
平面幾何(二等辺三角形の内心と傍心) (1)は例年同様,証明問題の穴埋め。ただし,内心,傍心の性質をあまり利用せず,中学校で学習する内容(平行線の同位角)を用いるものがほとんどであった。 (2)はBIが角ABDの2等分線であること,三角形AGIが直角三角形であることに気が付けるかどうかを問われていた。なお,三角比で学ぶ三角形の面積と内接円の半径の関係を用いて解くこともできる。 |
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第5問(選択問題) 配点20点 |
計算とコンピュータ 教科書の知識で十分解ける問題。 140,150行のIF文から,「奇数で3の倍数でないもの」についてのプログラムであることが容易に分かるであろう。(1)プログラムの完成,(2)プログラムの計算は,順を追って求められる。(3)のプログラムの変更により,何についてのプログラムであるか吟味するのに若干難しい面もあるが,順を追って求めることもできる。 |