総評 | 必答問題の2問は,計算量・レベルとも適度で,傍用問題集で演習し慣れていればつまずかずに解けるであろう。昨年よりは易しいと思われる。 選択問題の第3問と第4問は問題集では必ず扱われている問題で,日頃から問題集を演習していた受験生にとっては,今回は楽であったのではないかと思われる。なお,ベクトルでは,今回で空間が4回,平面が1回と,空間ベクトルからの出題が圧倒的に多い。 第5問の確率の問題も,途中の計算結果が与えられているので,そう大変ではない。昨年だけ分散の問題が出題されなかったので今年は出るだろうと思ったが,出なかった。 |
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第1問(必答問題) 配点30点 |
〔1〕 | 三角関数(三角関数の相互関係,2倍角の公式) (1)教科書の本文レベルの問題。 後半は,前半を使わずとも正接の半角の公式からすぐに求められる。 (2)教科書の節末レベルの問題。 (1)の式を利用するのは当然であるが,それを忘れて式の形から相加平均と相乗平均を使おうとすると,最大値でつまずいてしまう。 |
〔2〕 | 指数・対数関数(指数方程式) 教科書の章末レベルの問題。 指数方程式としては決して易しくはない問題だが,おき換え方がうまいのと誘導形式であることから,素直に解ける良問になっている。 |
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第2問(必答問題) 配点30点 |
〔1〕 | 微分法の応用,積分法の応用(放物線の接線,円と放物線で囲まれた面積) 教科書の章末レベルの問題。ただし,接線の方程式を求める問題は教科書では扱えない。 aは,30度,60度,90度の直角三角形の辺の比からすぐに求められる。 また,数学IIで扱われる面積は限られているので,2次関数とその接線で囲まれる図形の面積は公式として覚えておくと時間が稼げる。この問題でも放物線と接線,およびy軸で囲まれた部分の面積は,接点のx座標の3乗を3で割った値になることを知っていると早い。数学II ・Bは制限時間内に4題解かないといけないので,計算の省略化は欠かせない手段である。 |
〔2〕 | 微分法の応用(三角関数の最大・最小→3次関数の最大・最小) 教科書では2つの章の融合問題であるため,扱えない問題。 増減表を書けば最大値はすぐにわかる。最小値は本来は2つの値を比べる必要があるが,この問題ではそれを与えるxの枠の形からすぐに判断できる。こういう点が,マークシート形式の欠点といえよう。 |
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第3問(選択問題) 配点20点 |
空間ベクトル(ベクトルの分点表示,分解,成分と内積) (1)教科書の本文レベルの問題。 ここは確実に取っておきたい。 (2)教科書の章末レベルの問題。 今回初めて空間ベクトルの成分表示が出題された。また,ベクトルの分解の性質を使ってx,yの値を求める問題も,空間では初めてである。問題集では頻出であるから,慣れた受験生には簡単であったろう。 なお,後半で2つのベクトルが垂直になるaを求めているが,内積を使わずとも三垂線の定理を知っていれば,図からすぐに1/2であることがわかる。 |
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第4問(選択問題) 配点20点 |
複素数と複素数平面(極形式,n乗根,三角関数の加法定理) (1)教科書の本文レベルの問題。 素直な問題であるから,確実に取っておきたい。 (2)教科書の章末レベルの問題。 105度の正弦,余弦を正確に求められたら後は簡単。 |
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第5問(選択問題) 配点20点 |
確率の計算(条件つき確率,余事象の確率,期待値) 教科書の内容,特に条件つき確率の定義を理解していれば,誘導的になっているのでつまずかずに解けるであろう。 (3)などは,余事象の確率を使いなさいと言わんばかりの設問になっている。 (4)は,(2)ができれば(3)ができなくても解ける。計算量も少ない。 (5)は,いわゆる原因の確率であるが,計算自体は(2)と変わらないので難しくはない。 |
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第6問(選択問題) 配点20点 |
算法とコンピュータ(特殊な数列の漸化式,INT(X)の性質) 数学Aと同様に,実数の整数部分とプログラムの修正を扱ってある。 さすがに数学Aよりは難しく,(3),(4)の設問で得点差が出たであろう。 (2)は,プログラムの知識がなくても解けるから,まず(2)から考えるのも手である。 ここでの計算過程を丁寧にメモしておけば,(3)のプログラムの修正も迷わないはずである。 |