第4号(2022/7/29配信)【内容解説資料】
今号から、明治大学教授で中国文学がご専門である加藤徹先生に
ご寄稿いただけることになりました。
今後も漢文にまつわるミニコラムを連載予定ですので、
どうぞ楽しみにお待ちいただければ幸いです。
■□□目次□□■
[1]国語におけるICT活用案 〈第1回〉コーパスの活用
[2]新課程向け指導者用デジタル教科書(教材)Q&A
[3]加藤徹先生コラム ≪『国語』や『古文』がない国≫
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[1]国語におけるICT活用案 〈第1回〉コーパスの活用
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タブレットやノートPCが整備されたものの、何に活用したらよいかと
お悩みではありませんか?
高校国語の学習内容は、実は情報処理と相性がよく、ICT機器を活用することで
さまざまな展開が可能です。
本コラムでは、手軽に活用できるICTの活用事例を紹介してまいります。
はじめに、故事成語やことわざについて、「どのような意味で用いられる言葉か」を
調べる学習課題を考えてみましょう。
正確な語義や用例は、図書室で国語辞典やことわざ辞典を活用すれば調べることができます。
辞書を活用する力は、ぜひ国語の力として身につけさせたいものです。
しかし一方で、一般的な辞書には実際の文章に基づく用例が多数載せられているとは限りません。
実際にその言葉が、どのような生きた文脈で用いられているかを知るためには、
オンラインで利用できるコーパス(検索可能な大規模文章データ)を活用してみるとよいでしょう。
たとえば、国立国語研究所が公開している「少納言」という日本語コーパスでは、
書籍・雑誌・新聞・ウェブサイト等のテキストから、語句の用例を検索することができます。
https://shonagon.ninjal.ac.jp/
また、国立国会図書館が公開している「NDL Ngram Viewer」では、
同館のデジタル化資料のOCRテキストを検索し、通時的な用例頻度の変遷を探ることができます。
https://lab.ndl.go.jp/ngramviewer/
こうしたコーパスを活用することができれば、言葉の用例・用法を調べる学習の幅を
広げることができるはずです。
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[2]新課程向け指導者用デジタル教科書(教材)Q&A
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新課程向けの指導者用デジタル教科書(教材)の機能について、よくあるご質問を紹介します。
今回は、国語メルマガ第2号でもご案内した「掛図機能」を取り上げます。
「掛図機能」は、教科書の本文を画面上で見やすい形に整えて表示するための機能です。
▼国語メルマガ第2号はこちら
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┃1┃「掛図機能」はどのような使い方が多いですか?
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板書の代替・補助として使用されることが多いです。
古典教材(古文・漢文)ではフレーズ単位で口語訳を表示できるため、
本文を通して訳読する際の板書時間を節約できます。
また、古文教材では品詞分解、漢文教材では
書き下し文をマスクされた状態から表示できるので、
訳読とあわせて文法事項や訓読を確認するのにもご利用いただけます。
現代文教材では、本文中から必要な部分をカードのように抜き出して
書き込みを加えることができます。
論理構造や関係性を図示する板書を手軽に作成することが可能です。
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┃2┃「掛図機能」上に書き込むことや、書き込んだ内容の保存はできますか?
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書き込み可能です。また、書き込んだ内容は自動で保存されますので、
保存し忘れの心配もありません。
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┃3┃「掛図機能」は生徒が使う学習者用デジタル教科書・教材でも使用できますか?
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掛図機能は、先生が使用する指導者用デジタル教科書(教材)にのみ搭載しております。
学習者用デジタル教科書・教材には搭載しておりません。
今回ご案内した「掛図機能」について
デジタル教科書の体験版でお試しいただくことができます。
ぜひお試しください。
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[3]加藤徹先生コラム ≪『国語』や『古文』がない国≫
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米国や英国の学校には English の授業はあるが、
国語(national language)という課目名はないらしい。
日本のような検定教科書もない。
アングロサクソン的な価値観は、個人主義と自由主義をたっとぶ。
英米人は、国が「文字改革」とか「国語」などを
トップダウンで国民に押しつけることを嫌う。
だから英語はいまだに「旧仮名遣い」状態だ。takeはタケではなくてテイクと読む。
また英米の中高生は「古文」も学ばない。
英語の歴史は古英語、中英語、近代英語、現代英語に4分される。
中高生が学校で習う最も古い教材は、今から400年ほど前の、
初期近代英語のシェイクスピア(1564年-1616年)あたりだ。
日本の「古文」はすごい。古文の期末テストでは、1200年前の『万葉集』も平気で出題する。
中華人民共和国の中高生はもっとすごい。学校の「語文」(日本の「国語」に相当)の
「古文」(中国語の「古文」は漢文の意)のテストでは、3000年くらい前の『詩経』の原文を出題する。
日本人も中国人も、常用漢字とか簡体字とか国が「国語」の規則を決めるのは当然、
「古文」を学ぶのは当たり前だと信じている。
世界は広い。みんな違って、みんないい。
■著者略歴
加藤徹(かとう・とおる) 昭和38年(1963)、東京生まれ。明治大学法学部教授。
専門は京劇(中国の伝統演劇)。一般の読者に向けて漢文や中国文化の魅力を
紹介した書籍を多く著す。
著書に『京劇』(中公叢書、2002年度サントリー学芸賞受賞)、
『漢文力』(中央公論新社、2004年)など。