新課程最初となる令和7年度大学入学共通テスト(以下、共通テスト)「国語」では、実用的文章の大問が追加され全5題の構成になりました。また、試験時間が10分増えて90分になるとともに、ほとんどの設問が4択になり、全体的な難易度調整が図られました。国語全体では昨年に対して易化したと言えます。
各大問の配点は、論理的文章・文学的文章・古文・漢文が各45点で、実用的文章は20点でした。
今年初めて出題された実用的文章では、文章とグラフなどを含む資料を比べ読む問題が出題されました。こうした問題は、短時間で効率的に資料を読む力が重要であり、多様な形式の問題演習に取り組むことが効果的だと考えられます。
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高岡文章「観光は『見る』ことである/ない――『観光のまなざし』をめぐって」(2021年発行)より出題。観光社会学が専門の研究者である筆者が、観光における「見る」ことについて論じた文章。
文章量は約3,800字で、昨年より100字程度減。
2024年に引き続き、一つの文章を課すシンプルな形式でした。
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設問数は昨年と同数で、マーク数は2減。
すべて4択。
配点は45点。
構成は、問1が漢字問題、問2~6まで内容読解問題。昨年まで出題されていた資料などと本文を比べ読む設問は出題されず、全問で単一の文章から出題されるオーソドックスな形式でした。
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蜂飼耳の「繭の遊戯」(2005年発表)より出題。昨年に引き続き、平成期の作品が出題されました。
文章量は約4,300字で、昨年より1,200字程度増。
比べ読み用の資料もなく、一つの文章を課すシンプルな形式でした。
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設問数は昨年と同数で、マーク数は3減。
すべて4択。
配点は45点
構成は、問1~4、6~7が心情・人物像説明の問題で、問5が本文の表現に関する問題。昨年まで出題されていた資料などと本文を比べ読む設問は出題されず、論理的文章同様、全問で単一の文章から出題されるオーソドックスな形式でした。
昨年問1で出題された語句問題は、出題されませんでした。
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【資料I】は2003年の国立国語研究所『外来語に関する意識調査(全国調査)』、【資料II】は国立国語研究所「外来語」委員会編『分かりやすく伝える外来語言い換え手引き』(2006年発行)、【資料III】はNHK放送文化研究所『放送研究と調査』2022年12月号から出題。
【文章】の分量は約700字、【資料I】~【資料III】では文章的な資料が1つ、グラフ4つの構成でした。今年の問題と似た形式であった試作問題Bと比べると、全体的な文章量は減少しています。
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設問数は3、マーク数は5で、いずれも試作問題と同程度でした。
正答を2つ選ぶ問3(ii)以外は4択。
配点は20点。
構成は、問1が【資料】のグラフの内容を読み取り【文章】を加筆する問題。問2が文章的な【資料】の大意把握の問題。問3(i)がグラフの内容を読み取り【文章】を推敲する問題で、(ii)は全体を踏まえ、【文章】を推敲する問題。
いずれの設問も、単なる【資料】の読み取りではなく、【文章】の展開に沿ったものかどうかを検討する必要がある設問でした。
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【文章I】は『在明の別』(作者未詳)、【文章II】は紫式部の『源氏物語』若菜下より出題。
【文章I】の『在明の別』は鎌倉時代初期の擬古物語で、『源氏物語』の影響を受けて成立したことが設問中で示されています。
字数は【文章I】が約600字、【文章II】が約400字で合計約1000字。昨年と比べて150字程度減。
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設問数・マーク数とも昨年から1減。
問2以外は4択。
配点は45点。
構成は、問1が語句の意味を問う問題、問2が敬語の用法を問う問題、問3(i)~(iii)は生徒同士の話し合いの空欄補充問題。
問3は、【文章I】【文章II】を踏まえて、生徒たちの話し合いの空欄を補充する問題で、この形式の問題は2022年本試、2023年本試でも出題されています。話し合いのテキストから当時の背景知識や本文の人物関係を読み取ることができるため、これをヒントにしながら本文を読解すると、内容を把握しやすかったと思われます。
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【文章I】は「論語」と、江戸時代中期の儒学者である皆川淇園による注釈書である「論語繹解」より出題。【文章II】は、その淇園の弟子である田中履堂による「学資談」から出題。
字数は、【文章I】が107字、【文章II】が92字で合計199字。昨年から11字増。
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設問数は昨年と同数で、マーク数は1増。
すべて4択。
配点は45点。
構成は、問1が語句解釈の問題、問2が内容説明の問題、問3が比較の形を正しく解釈できたかを問う問題、問4が返り点の付け方と書き下し文の正しい組合せを選ぶ問題、問5が文章中の漢字の意味を選ぶ問題、問6が【文章I】【文章II】を比べ読む問題。
問5は、漢文の語と同じ意味で用いられているものを現代語の用例から選ぶという少し変わったタイプの問題でした。
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