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教科書の題材を深掘り!
― 「A Journey to Peace」(BLUE MARBLE English Communication I:Lesson 5)―

『BLUE MARBLE English Communication I』掲載題材より、「Lesson 5:A Journey to Peace」のあらすじや題材のねらい、編集担当者のコメントを紹介します。

  • 題材のあらすじ

    1993年、マリールイズ・カンベンガ(以下、ルイズ)は洋裁を学ぶためにルワンダから日本にやって来た。福島県での10か月の研修の後、彼女はルワンダに帰国したが、まもなく内戦が激化し、大量虐殺が始まった。

    ルイズは家族とともに避難した難民キャンプで、1人の日本人ボランティア医師と出会う。日本での留学経験と、偶然かばんの中に入っていた辞書のおかげで、ルイズはその医師のもとで日本語通訳として働きはじめ、多くの難民を救うことになる。

    現在、ルイズはルワンダに貧しい子どもでも通うことができる学校を設立し、子どもたちに教育を受ける機会を与え続けている。

題材への理解を深める! 題材に関する予備知識

  • ルワンダ共和国と民族紛争

    ルワンダ共和国はアフリカ中部の内陸高原にある国。昔からフツ・ツチ・トゥワなどの民族の呼び名があったが、その区別はあいまいなものであった。
    第一次世界大戦以降、ベルギーの植民地下ではこの民族の区別が利用され、少数派であるツチ族を支配層とする体制が築かれた。
    フツ族とトゥワ族はあらゆる面で差別を受け、特にツチ族と多数派であるフツ族との対立は深刻なものとなった。

  • ルワンダ大虐殺

    反政府運動や内戦勃発などの不安定な政情の中、1994年に当時の大統領が暗殺された。これに端を発し、内戦がさらに激化して、民衆の大量虐殺が進行した。
    わずか100日間で100万もの人々が虐殺されたとする調査結果もあり、20世紀最大の悲劇の1つと言われている。

教授資料本冊には、本文の題材に関する背景知識を掲載しています。
また、「学習者用背景知識資料」を別冊 活動資料集と付属データに収録しています。

  • この題材のねらい

    • その1

      1994年のアフリカのルワンダ共和国での内戦を必死に生き延びた女性、マリールイズ・カンベンガに関する英文を読み、平和の尊さについて理解する。また、ルイズのメッセージを通して、平和を構築するための教育の重要性について考える。

    • その2

      世界では、今なお、争いや紛争が絶えないが、その根本にあるのは何かを考えさせるきっかけにしたい。
      ルワンダ内戦が起こるに至った、歴史的な経緯、背景事実等から、ルイズが指摘するように、教育の欠如によって、ルワンダの人々が容易に操られてしまい、大虐殺に至ったという考えについて、どのように思うか、生徒自身に意見を問う。
      また、ルイズが教育と平和を関連付ける理由、教育の意義や効果について考えさせる。

    • その3

      日本では当たり前の公教育だが、他の国や地域での現状はどうか、その国の内政状況や経済状況等も含めて関心を持たせたい。

  • 編集担当者より

    「教育が未来の戦争を防ぐ」という理念のもと、ルワンダと日本の懸け橋として活躍するルイズ。彼女の考えや行動は、質の高い教育を通して貧困や不平等をなくし、平和と公正を実現するという、SDGsの理念そのものです。
    今後ますます求められる持続可能性という視点を、ルイズの体験を通して日本の高校生にも学んでもらいたい。そのような思いで掲載しました。