数研国語だより

第7号(2022/10/13配信)

■□□目次□□■
[1]国語におけるICT活用案 〈第3回〉形態素解析
[2]『先生用サイト』で、エスビューアがさらに便利に!
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[1]国語におけるICT活用案 〈第3回〉形態素解析
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高校国語では古文の文法指導がある程度進むと、与えられた文を品詞分解する課題に取り組むようになります。
「文を品詞分解する」という作業は、実は情報処理の分野では古くから研究されてきた課題でした。
近年は日本語に対しても、機械的な計算によってかなりの精度で自動的に品詞分解を行えるようになっており、そうした技術は日本語の文字入力やテキスト検索を支える役割として、私たちが知らないうちにコンピュータの内側で利用されていることがあります。
当社デジタル教科書の「掛図」機能でも、この技術を利用しています。

さて、情報処理の分野では、品詞分解に相当する作業を「形態素解析」といいます。
「形態素」とは、おおむね国語でいう「品詞」に相当しますが、品詞に含まれない接辞や記号類も区別して扱うことのできる分割単位です。
与えられた文を形態素解析するソフトウェアを、形態素解析エンジンといいます。

代表的な形態素解析エンジンの一つに、MeCab(和布蕪)があります。
https://taku910.github.io/mecab/
MeCabを動作させるためにはやや専門的な知識が必要なため、ここでは、国立国語研究所が提供しているインターフェイス「Web茶まめ」で、MeCabの動作を確認してみましょう。
https://chamame.ninjal.ac.jp/

何らかのテキストを入力して「解析する」をクリックすると、文が形態素に分解されます。
さらに、「辞書選択」欄で「中古和文」を選択すると、古文の文章も分解できます。

このような機能を目にすると、さしあたり、古文の教材を作成する際の補助としての利用方法が思い浮かぶかもしれません。
※「形容動詞」の扱いなど、学校文法の品詞認定と一部異なる部分があるためご注意ください。

また、生徒さんが品詞分解に取り組む際の補助としてこうした機能を利用できれば、より本質的な文章読解に取り組むための時間を確保しやすくなることも期待できるでしょう。



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[2]『先生用サイト』で、エスビューアがさらに便利に!
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生徒さんがエスビューアの「学習者用デジタル教科書・教材」または「学習者用デジタル副教材」をお持ちの場合、『先生用サイト(https://lms.sviewer.jp)』から生徒さんの端末へ宿題を配信できます。
配信できるデータは、「PDF」です。
先生が作成されたプリントをPDFに書き出すなどして、教材をご用意ください。

生徒さんはエスビューアで宿題を受信し、ノートに記した解答を端末のカメラで撮影して、「できた/できなかった」の結果と合わせて提出します。
先生は、生徒さんが提出した内容を『先生用サイト』で確認できます。
提出された解答をもとに生徒さんたちの課題を把握することができます。

▼「先生用サイト」について詳しくはこちら


****編集部員リレートーク****
国語編集部のGです。
教科書や準拠教材の現代文分野を担当しています。

近頃、画像生成AIが注目を浴びています。
入力された指示文に従い自動で画像を描出するこのサービス、もしや教材の挿絵やイメージ写真に利用できるのでは?と思い、ためしに「春はあけぼの」から始まる『枕草子』の一節の現代語訳を入力してみました。
しかし、できあがったのは…空を覆う紫の雲と、山の麓の鬱蒼とした森を薄暗く写し出した、なんとも不気味な一枚。
「山際が少し明るくなって」「雲が細くたなびいて」等の表現を、AIは消化しきれなかったようです。
イメージどおりの画像を得るには、結果を受けて指示文の問題点を洗い出し修正する必要がありますが、的確な表現を見つけるのも容易ではありません。
悪戦苦闘しながら、この自己添削の力こそがAIをうまく動かす要なのかも、と考えました。

時代に即した表現力とは何なのか、模索を続けたいと思います。
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