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2020年センター試験速報<分析>

数学I・数学A
総評
  • 問題構成は,昨年と同じく大問5問(第1問,第2問は必答,第3問~第5問から2問選択)であった。
  • 第1問,第2問は昨年と同じく,独立した中問がそれぞれ3題,2題であった。しかし,第3問は例年と異なり,独立した2つの中問に分かれていた。
  • 配点は,第1問,第2問が各30点,第3問~第5問が各20点で,昨年と同じであった。
  • 問題数,計算量ともに昨年と同程度であったが,目新しい出題が多かったため,全体的な難易度は昨年からやや難化。
  • 第5問について,昨年は「図形と計量」との融合問題が出題されたが,今年は「図形の性質」のみからの出題であった。
  • 選択問題の難易度については,第5問が第3問,第4問と比べて少し取り組みやすかったと思われる。
第1問(必答問題)
配点30点
〔1〕 数と式,2次関数(2次不等式,分母の有理化)
教科書章末問題レベル。
直線の傾きや,x軸との交点のx座標の符号から2次不等式を解く問題。数と式と2次関数が融合した,センター本試の数学Ⅰ・Aとしては目新しい出題であり,取り組みにくかった受験生もいただろう。状況をきちんと理解できたかがポイント。計算自体は平易な問題であった。
〔2〕 集合と命題(共通部分,集合と要素,反例)
教科書本文レベル。
倍数の集合について,包含関係を考察する問題。(3)はどの命題の反例であるかを選択する問題で目新しい。複雑な設定ではなく,誘導も丁寧なため,容易に解答できる。
必要十分条件についての問題が出題されなかった。
〔3〕 2次関数(平行移動,放物線と線分の共有点)
教科書章末問題レベル。
放物線の平行移動,y軸に平行な線分と共有点をもつ条件についての問題。Gを表す2次関数を正確に求められたかがポイント。Gとy軸に平行な線分が共有点を考える問題はあまりない出題だが,グラフをかいて考えると解きやすい。
第2問(必答問題)
配点30点
〔1〕 図形と計量(正弦定理,余弦定理)
教科書章末問題レベル。
正弦定理と余弦定理を用いて,線分の長さやその比,角度の正弦,外接円の半径を求める問題。
AC/ADの値を求める問題は,正弦定理を用いてもよいが,角の二等分線の性質を使って素早く計算したい。ADの長さを求める問題は方針が立てにくく,少し難しかったであろう。最後の外接円の半径を求める問題は,△ADCがCA=CDの二等辺三角形となることに気づくかがポイントであった。三角形の面積を求める問題は出題されなかった。
〔2〕 データの分析(箱ひげ図,ヒストグラム,散布図)
教科書章末問題レベル。
(1)は四分位数について一般的に成り立つ性質を選ぶ問題。目新しい内容のため,やや難しく感じられたかもしれない。
(2)は箱ひげ図の読み取りで,3つの記述の正誤を判定する問題。
(3)はヒストグラムから正しい箱ひげ図を選ぶ問題。
(4)は男女の平均寿命の差のヒストグラムを選ぶ問題。昨年と同様,散布図にあらかじめ示された補助線を利用するという設問であった。
(2)~(4)は読み取るべき内容が少なく,いずれも易しい設問であった。
第3問(選択問題)
配点20点
〔1〕 場合の数と確率(いろいろな確率)
教科書章末問題レベル。
題材の異なる4つの確率に関する選択肢から,正しいものを2つ選ぶ問題。どの選択肢も基本的な内容を扱っているが,出題が目新しいため戸惑った受験生も多かったと思われる。各選択肢の確率を素早く計算し,正誤を判断したい。
〔2〕 場合の数と確率(反復試行の確率,条件付き確率)
教科書章末問題レベル。
コインを最大5回投げるゲームに関する確率の問題。
(3)は(2)の誘導にしたがって,持ち点が再び0になる場合をうまく処理できるかどうかがポイントになる。
(4)は条件付き確率を求める問題。ゲームが終了した時点で持ち点が4点である場合をすべて書き出すとわかりやすい。
第4問(選択問題)
配点20点
整数の性質(循環小数,n進法,約数と倍数,1次不定方程式)
教科書章末問題を超えるレベル。
特定の条件を満たす,7進法の循環小数表示を求める問題。(1)の10進法の場合をヒントに,(2)を同様に考えていく。yの分数表示の条件から,最終的にはaとbに関する1次不定方程式の整数解を考察する問題に帰着される。最後の設問は,aとbが異なる整数であることをしっかりと考慮できたかどうかがポイントであった。
第5問(選択問題)
配点20点
図形の性質(チェバの定理,メネラウスの定理,方べきの定理の逆,円に内接する四角形)
教科書本文レベル。
チェバの定理やメネラウスの定理を用いて,線分の長さの比や三角形の面積比を求める問題。誘導に沿って解き進めれば,問題なく解答することができる。最後の設問は,与えられた数値から方べきの定理の逆を用いることに気づくかどうかがポイントであった。

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