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2018年センター試験速報<分析>

数学II・数学B
総評
  • 問題構成は昨年同様,大問5問(第1問,第2問は必答,第3問~第5問から2問選択)であった。
  • 配点も昨年同様,第1問,第2問が各30点,第3問~第5問が各20点であった。
  • 第1問〔1〕が「三角関数」の分野の問題,〔2〕が「指数関数と対数関数」の分野の問題であり,「図形と方程式」の内容は出題されなかった。
  • 第2問は,独立した2つの小問〔1〕〔2〕に分かれて出題された。
  • 難易は,昨年と同程度。ただし,過去の試験では見慣れない出題がいくつかあった。いずれも教科書本文に記載されているような内容であり,基本的な定義や定理を正確に理解できているかどうかで,取り組みやすさは大きく変わったであろう。
  • 選択問題については,難易度・計算量ともに3分野で大きな差はなかった。
第1問(必答問題)
配点30点
〔1〕 三角関数(弧度法,三角方程式)
教科書本文レベル。
(1),(2)は,ラジアンの定義に関する問題。これまでにない出題形式であり,戸惑った受験生も少なくなかったかもしれない。ただし,「180°を弧度法で表すとπラジアン」ということさえ覚えていればある程度解けてしまうため,それほど難しくなかったと思われる。
(3)は三角関数を含む方程式の問題。加法定理や合成を用いる基本的な問題であり,最後のθの範囲を考える部分も簡明であるため,解きやすかったであろう。
〔2〕 指数関数と対数関数(対数関数を含む不等式)
教科書章末問題レベル。
未定係数cをもつ,対数関数を含む不等式について考察する問題。
前半は,与えられたcの値について不等式を解く問題で,誘導が丁寧であり容易であった。
後半は,不等式がすべての正の数xにおいて成り立つような,cの条件を求める問題。2次方程式の判別式に帰着させる典型的な問題であった。
第2問(必答問題)
配点30点
〔1〕 微分法と積分法(接線の方程式,面積の最小値)
教科書章末問題レベル。
(1)は,接線の方程式から,放物線の方程式の係数q,rをpで表す問題。
(2)は,放物線と直線で囲まれた部分の面積について,増減や最小値を考える問題。
面積Sを計算する場面では,直線が放物線に接することに着目すると,計算量が少なく,またその後の設問の見通しが立てやすかったであろう。Uのとり得る値や最小値を考える際には,vの範囲の端点となる値(1とv0),極値をとるvの値(2/3と2)の4つの値について,大小関係を把握することが重要である。
〔2〕 微分法と積分法(不定積分,面積)
教科書本文レベル。
与えられた面積の式から,関数f(x)を求める問題。
関数とその不定積分との関係は教科書本文に記載されている基本的な内容ではあるが,これまでにない出題だったため,戸惑った受験生も多かったのではないか。
(テ)では,問題文冒頭の「常にf(x)≦0である」ことの意味をきちんと理解しなければならない。また,f(t)を求める設問では,F(x)を微分するとき,F(1)は定数であるため微分すると0になることにすぐ気づけたかどうかが,スムーズに解くポイントであっただろう。
第3問(選択問題)
配点20点
数列(等差・等比数列の一般項と和,階差数列)
教科書章末問題レベル。
(1),(2)は等差数列,等比数列の一般項と和を求める問題。
(3)は和で表された数列の一般項を階差数列を用いて求める問題。
(1),(2)については一般項と和の公式が正確に頭に入っていれば容易に解答できるであろう。(3)の階差数列の計算は,少々計算が煩雑になるが,n=1,2,3の具体例から,答えの形を推測できる。
第4問(選択問題)
配点20点
平面上のベクトル(位置ベクトル,内積)
教科書章末問題レベル。
三角形の内分点に関する位置ベクトルの問題。位置ベクトルに関する典型的な問題であるが,ベクトルの始点が三角形の頂点ではないのが目新しい。内容は難しくないが,文字を含む計算を行う必要があるため,丁寧に解き進める必要がある。
第5問(選択問題)
配点20点
確率分布と統計的な推測(離散型確率変数の期待値と分散,二項分布と正規分布,母比率の推定)
教科書章末問題レベル。
(1)は箱からカードを取り出す試行において,カードに書かれた数字を確率変数とみなしたときの期待値と分散を求め,さらに期待値,分散の値から確率変数の変換を決定する問題。
(2)は二項分布を正規分布で近似して確率を求める典型的な問題である。
(3)は母比率を信頼度95%で推定し,さらに標本の大きさと標本比率を変化させたときに,信頼区間の幅がどのように変化するのか問う問題。
(1),(2),(3)ともに基礎事項が理解できていれば容易に解答できるであろう。

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