総評 | ・問題構成は大問6問(第1問・第2問必答,第3問~第6問から2問選択)で昨年と同じである。 ・配点は昨年と同じく,第1問・第2問が各30点,第3問~第6問が各20点であった。 ・第1問〔1〕が昨年同様「図形と方程式」の分野であり,第1問以外でも「三角関数」の分野からの出題がなかった。 ・難易は昨年とほぼ同じ。問題量,計算量も昨年並みであった。ただし,誘導が多く,問題文が長くなっているため,誘導にうまくのれないとやや難しい。 ・選択問題については,若干の難易度の差はあるものの大きくは変わらず,選択した問題による影響はほとんどなかったものと思われる。 |
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第1問(必答問題) 配点30点 |
〔1〕 | 図形と方程式(円と直線) 教科書章末レベル。 第1問は一昨年まで,「三角関数」の分野からの出題が通例であったが,昨年は「図形と方程式」の分野からの出題であった。今年も昨年に引き続き「図形と方程式」の分野からの出題である。 内容は,1つの直線とx軸に接する円についての問題。 (1)のrは,点と直線の距離の公式を用いればそこまでの誘導を用いずに求めることができる。誘導通りに解かない方が時間を節約できる。 (2)は距離の絶対値を正しく外せるかがポイント。どのように絶対値を外すかとまどった受験生もいただろう。 |
〔2〕 | 指数関数・対数関数(対数を含む不等式) 教科書章末レベル。 対数を含む不等式の自然数解を求める問題。 誘導が丁寧であったため,解きやすかったと思われる。対数を含む不等式についての問題であるが,対数の性質はあまり使わない。整数の問題に慣れていた方が解きやすかっただろう。他の問題に比べ易しかったため,高得点を狙いたい問題。 |
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第2問(必答問題) 配点30点 |
微分法・積分法(3次関数の極値,接線の方程式,放物線と直線で囲まれた図形の面積) 教科書章末レベル。 (1)は3次関数が極値をもつ条件を求める問題。複雑な内容ではないが,極値の存在条件を問う出題は珍しい上に,誘導文の意味が理解できなければ混乱しかねない。 (2)は3次関数が極小値をとる点を通る接線の方程式を求め,それと放物線,y軸が囲む部分の面積を求める問題。通る点の条件から3次方程式を導き接線を決定する。最後の積分計算も標準的だが,積分領域がx≧0であることを見落とさないよう注意。 |
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第3問(選択問題) 配点20点 |
数列(階差数列,漸化式,和) 教科書章末を超えるレベル。 (1)は階差数列から数列の一般項を求める問題で標準的。 (2)では特殊な漸化式から一般項を求め,その和を計算する。基本的には誘導に沿って解き進めるだけだが,置き換えが2回あり計算量が多く,時間がかかったと思われる。最後に和を求める問題があるが,部分分数分解を扱う出題は2010年度以来4年ぶり。 |
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第4問(選択問題) 配点20点 |
空間のベクトル(空間座標,内積,三角錐の体積) 教科書章末レベル。 空間座標に関する問題は2009年以来となる。 扱う図形が立方体であるため,図を描きやすい。また,丁寧な誘導もついており,取り組みやすい問題であった。 (1)は平行四辺形の性質を用いて,平行四辺形の頂点の座標,面積を求める問題。計算量も少なく,易しい問題。 (2)は平面に下ろした垂線の長さから三角錐の体積を求める問題。誘導にしたがって解けるので難しくはない。文字を含む計算を工夫すると,時間を短縮できる。 |
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第5問(選択問題) 配点20点 |
統計とコンピュータ(資料の代表値,相関図) 教科書章末を超えるレベル。 (1)は英語と数学のテストの得点について,表の値から得点や分散などを求める問題。 (2)は相関図(散布図)を選ぶ問題。 (3)は1人の生徒の転入後の平均値と得点を求める問題。 (4)は1人の生徒の転出の前後における分散,相関係数の関係を考える問題。平均値が変わらないことを利用すると,計算量はほとんどないが,あまり見慣れない問題であり,やや難しい。 |
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第6問(選択問題) 配点20点 |
数値計算とコンピュータ(素因数分解のプログラム) 教科書章末レベル。 例年と同様,プログラムの構成に関する問題と,プログラムを実行したときに得られる結果を計算させる問題がバランス良く出題されている。 内容は,N!の素因数の個数に関する問題。 (2)は前置きの説明が長く,整数の内容に慣れていないと理解するのに時間がかかったと思われる。逆に慣れていれば,プログラムの穴埋め問題,結果の計算ともに容易に解くことができただろう。 |