総評 | ・第1問〔1〕,〔2〕の配列が入れ替わった。それ以外の出題形式,配点は昨年と同じ。 ・難易も,昨年とほぼ同じ。全体的にどの問題も誘導が丁寧である。昨年同様,平均点は60点に近いものだと思われる。 ・昨年と同様に,第1問,第2問の計算量が少なめに設定されている。そのため,数学Bの問題を解く時間にやや余裕があったのではないだろうか。 ・今年は,昨年までのような目立った分野融合問題の出題はなかった。 ・選択問題(第3~6問)については,第3問がやや難,第6問がやや易であったが,難易度の差は大きくなく,選択した問題による影響はほとんどなかったものと思われる。 |
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第1問(必答問題) 配点30点 |
〔1〕 | 三角関数(三角関数の最大・最小) 教科書章末レベル。 三角関数の最小値を,2倍角の公式,合成,文字のおき換えを利用して求める問題で,2次関数の最大・最小の問題に帰着するオーソドックスなもの。誘導に従って文字のおき換えをすれば,容易に解くことができる。計算量も少ない。素早く解きたい問題である。 |
〔2〕 | 対数関数(対数不等式を満たす自然数) 教科書章末を超えるレベル。 対数不等式を満たす自然数の範囲を求める問題。前半の対数不等式①は,対数の性質,底の変換公式を用いて,2次不等式の問題に帰着できる。比較的易しい。 後半の条件②を満たす最大の自然数は,いくつかの数をあてはめて求めることになる。解答の方針が立たず,難しく感じた生徒が多かったと思われる。しかし,②を満たす自然数は14未満であることと,枠の形から,(ノハ)の答えの候補は10,11,12,13の4つしかありえない。これに気づけば,楽に解答することができただろう。 |
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第2問(必答問題) 配点30点 |
微分法・積分法(放物線とその接線,および直線で囲まれた図形の面積,面積の最大・最小) 教科書章末レベル。 前半は,放物線の接線の方程式を求める問題。基本的で易しい。後半は,放物線と直線で囲まれる2つの図形の面積の和の最大値,最小値を求める問題。昨年と同様,計算量が少なめである。面積の和 U の極値,端点での値の計算では,面積Tを T=(2-a)^3/3 としてaの値を代入すると,楽に計算できる。 |
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第3問(選択問題) 配点20点 |
数列と漸化式(点の座標と隣接3項間の漸化式,(等差)×(等比)の和) 教科書章末を超えるレベル。 前半は,点の座標に関する条件から漸化式を作り,その一般項を求める問題。階差数列を利用して漸化式を解くことになるが,x(n)に関する漸化式の記述が問題文にないため,やや唐突な印象がある。これは,隣接3項間の漸化式の内容が,学習指導要領の範囲外であるための配慮であると思われる。 後半は,(等差)×(等比)の和を求める問題。(シ)では,Σの記号の意味をきちんと理解しているかどうかが問われている。また,指数部分を選択肢から選ばせる出題は目新しい。 |
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第4問(選択問題) 配点20点 |
空間のベクトル(四角錐,直線と平面の交点,垂直条件) 教科書章末レベル。 四角錐に関する問題。前半は,底面が長方形であることを利用してベクトルを表示し,直線と平面の交点の位置ベクトルを求める問題。誘導が丁寧なため,易しい。後半は,2直線が垂直となる条件を求める。内積の計算に関する問題で,計算がやや煩雑である。三角形OBCと三角形OADが合同であることや,三角形OBCが直角三角形であることなど,与えられた四角錐の図形的な性質を利用して解くことになる。 |
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第5問(選択問題) 配点20点 |
統計とコンピュータ(資料の代表値,相関図) 教科書章末レベル。 平均値,分散,標準偏差などの値と,正しい相関図および相関関係を求める問題。昨年より,代表値の意味を問う問題が減り,計算させる問題が増えた。(3)の連立方程式に関する出題や,(5)の新しい変量rの度数分布表に関する出題は新しい傾向である。また,近年出題されていた中央値,相関係数については問われなかった。 |
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第6問(選択問題) 配点20点 |
数値計算とコンピュータ(コラッツ予想) 教科書章末レベル。 コラッツ予想(数論の未解決問題のひとつ)としてよく知られている問題を題材とした問題。プログラムに関する設問に入る前に,内容を理解させるようにうまく誘導しているため,平易。(2)のプログラムの構成も比較的易しい。(3)のプログラムの変更についても,それほど難しくない。 |