総評 | ・出題形式について,第1問の〔1〕と〔2〕の出題内容が昨年と入れ替わった以外は,昨年と同じで,配点についても昨年と同じであった。 ・難易度,問題量についても昨年とほぼ同程度であった。 ・昨年は融合問題の出題が目立ったが,今年は第1問〔1〕の指数,対数関数の問題で相加・相乗平均の関係が問われた程度で,目立った融合問題は出題されなかった。 ・選択問題については,難易度はどれも大きくは変わらず,選択した問題による差はほとんどなかったものと思われる。 |
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第1問(必答問題) 配点30点 |
〔1〕 | 指数・対数関数,式と証明(関数の最大・最小,相加平均・相乗平均の関係) 教科書章末レベル。 与えられた条件式を満たすような関数の最小値を求める問題。 条件式の指数部分に対数が入っているため,一見すると難しい印象をもつかもしれない。しかし,誘導が丁寧にされており,取り組みやすかったのではないか。 Kの最小値を求める際に相加平均・相乗平均の大小関係を用いるが,指数関数の最小値を求める問題では頻出事項であり,比較的平易だったと思われる。 |
〔2〕 | 三角関数(三角関数, 座標平面 ) 教科書章末を超えるレベル。 三角関数,座標平面といった,多様な内容が問われた問題。計算が主であった昨年と異なり,図形的な内容が増した。動径,始線といった,弧一般角で学習する用語も見られた。 (1)は座標と三角関数の関係を理解していれば平易。 (2)は3点O,P,Qが一直線上に並ぶことと動径との関係に気づきにくかったかもしれない。扇形の面積は,公式を覚えていれば平易。 (3),(4)は2点間の距離や加法定理,三角関数の周期について問われた。 |
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第2問(必答問題) 配点30点 |
微分法・積分法(接線,面積,最小値) 教科書章末を超えるレベル。 (1),(2)は放物線の共有点,接線の方程式,グラフに囲まれた部分の面積を求める問題。いずれも基本的な内容で平易。 (3)はグラフに囲まれた部分の面積を場合分けして求め,さらにその最小値も求める問題。図形的な内容の理解が問われた。例年通り計算量も多い。 |
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第3問(選択問題) 配点20点 |
数列(等差数列,等比数列,漸化式,数列の和) 教科書章末レベル。 (1)は等差数列の一般項と和を求める問題で平易。 (2),(3)は漸化式で表された数列の一般項と和を求める問題。誘導の通りに解けば,漸化式特有の知識をそれほど必要としない。ただ,dnのおき方などやや見慣れない設問のため,とまどった生徒もいたのではないか。 |
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第4問(選択問題) 配点20点 |
空間のベクトル(内積,四面体の体積) 教科書章末レベル。 (1)は,四面体の各辺の長さから内積を求める問題。|a-b|^2=AB^2であることに気付けば難しくない。 (2)は,内積の条件から,ベクトルの大きさ,四面体の体積などを求める問題。最初CPベクトルの係数の設定の仕方でとまどうかもしれないが,それ以降は,誘導も丁寧なためさほど難しくなく,計算量も多くない。|CP|については,誘導にしたがった要領のよい計算をする必要がある。 |
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第5問(選択問題) 配点20点 |
統計とコンピュータ(相関図,代表値) 教科書章末レベル。 (1),(2)は平均値,中央値に関する問題。(2)の,グループごとの平均値から全体の平均値を求める問題も,平均値の求め方がしっかり理解できていればさほど難しくない。 (3),(4)の入力ミスに関する問題は目新しい。特に分散の変化については,分散という量の意味がつかめているかが問われている。 (5),(6)は相関図に関する問題。2つの変量から新たな変量を設定する問題は目新しいが,問われている内容はさほど難しくなかった。 |
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第6問(選択問題) 配点20点 |
数値計算とコンピュータ(互除法) 教科書章末を超えるレベル。 (1)~(5)は,互除法のプログラムに関する問題。(2),(3)については,プログラム自体の穴埋めであるため,互除法そのものを知らないと解答は難しい。 (6)~(9)は,プログラムの知識以外にも,整数に関する知識が問われている。 今後もプログラムの知識に加え,様々なアルゴリズムについての知識も必要となりそうである。 |