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2007年センター試験速報<分析>

数学II・数学B
総評 ・新課程2年目で,旧教育課程履修者向けの問題がなくなった。
・昨年は旧教育課程履修者への配慮か,第1問の三角関数は度数法で出題されていたが,今年は弧度法で出題された。
・問題量,出題形式などは昨年と同じだが,計算量が多く,全体的にやや難化した。
・第1問,第2問の必答問題では2つの分野の融合問s題が出題されており,少し戸惑った受験生もいたのではないか。
・今年は選択問題の統計・コンピュータが難しかったため,数学Bは数列・ベクトルを選んだ方が高得点を取れたであろう。
第1問(必答問題)
配点30点
〔1〕 三角関数(2倍角の公式,加法定理,不等式)
教科書章末レベル。
2倍角の公式と加法定理を用いて変形し,三角関数を含む不等式を解く問題。
a=sinx,b=cosxのおきかえを利用し,a,bの不等式として考えるところは,過去のセンター試験では見られないタイプで目新しい。
問題の後半では,a,bの不等式の左辺を(2a-1)(2b+1)と因数分解する必要があるが,慣れていないと気がつかない。
あとはAB>0⇔「A>0かつB>0」または「A<0かつB<0」に注意し,単位円を用いてxの範囲を丁寧に調べることで解決する。
〔2〕 指数・対数関数(対数不等式の解法,不等式の表す領域)
教科書章末レベル。
対数不等式は,昨年にも類問が出題されており,取り組みやすかったのではないか。
本問の大部分は,与えられた対数不等式を,誘導にしたがって変形していくだけなので,比較的平易である。最後は不等式の表す領域を選択肢から選ぶ問題であるが,最初に求めたxの範囲を忘れないように注意したい。
第2問(必答問題)
配点30点
微分法・積分法の応用,三角関数 (2つの3次関数のグラフ,面積,接線のなす角)
教科書章末レベル。
(1)は2つの3次関数の差g(x)-f(x)を与えて,2次方程式が異なる2つの実数解をもつ条件や2次関数の最大値を求めさせる問題。
(2)は(1)で求めたaの3次関数の最大値を求めさせる問題。
(3)は2つの3次関数のグラフで囲まれた部分の面積を求める問題であるが,g(x)-f(x)の誘導があるため,2次関数の積分に帰着することがわかる。最後に原点における2曲線の接線がなす角θについて,tanθを正接の加法定理を使って求める問題もあり,第2問では実にさまざまな内容が問われている。
第3問(選択問題)
配点20点
数列(漸化式,等差数列,等比数列,階差数列)
教科書章末を超えるレベル。
(1)はニ項間漸化式を誘導なしで解かせている。等比数列の和が初めて正となるnの値を求める部分は少し難しい。
(2)は連立漸化式を作ってbn+cnを計算する問題。計算の工夫に気づかなければ,漸化式からbnまたはcnを消去して求めても難しくない。
(3)はanをd,x,rで表した式が問題文中に与えられているため,「anがbn+cnの階差数列である」という条件を使わずに解ける。数列というより文字式の計算がメインである。
第4問(選択問題)
配点20点
空間座標とベクトル(内分点,2直線の交点)
教科書章末レベル。
(1),(2)は,空間における内分点の座標と内積に関する問題。内容は標準的である。文字が2つ出てくるが,計算量もさほど多くない。
(3)は,座標空間における2直線が交わるとき,係数と交点を求める問題。出てくる文字は多いが,誘導が丁寧であったためさほど難しくなかったと思われる。
第5問(選択問題)
配点20点
統計とコンピュータ
教科書章末を超えるレベル。
(1),(2)は,表から変量の平均,合計,分散を求める問題。各量の意味が理解できれば,大した計算もなく解答できる。
(3),(4)は,和の分散と分散の和の大小関係,相関図などに関する問題。誘導はあるが,各量についてより正確な知識が必要で,さらに数値と図表を見比べる必要があるなど,難しい問題であった。
(5)~(7)は,2つの度数分布表に関する問題。少々計算が必要となるが,度数分布表の意味が理解できれば難しくない。(7)の,誤っている選択肢を選ぶ問題は,数学では珍しい。
第6問(選択問題)
配点20点
数値計算とコンピュータ(二分法)
教科書章末レベル。
二分法により,3乗根,2次方程式の解の近似値を求めるプログラムに関する問題。プログラムよりも二分法そのものに重点がおかれた問題であった。プログラムから二分法がどのような計算法なのかを理解はできるが,やはり二分法を知っているかどうかで大きく差がついたと思われる。

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