総評 | 難しかった昨年度に比べ若干の難化か。 第1問〔2〕,第3問,第4問など,センター試験ではめずらしい形式の問題もあり,センター対策のみでは対処しきれず,2次試験の対策もしっかりやっていた受験生との差が大きく開いたと予想される。 ただ,昨年に比べ誘導が丁寧であったため,題意が読み取れれば方針は立てやすい問題が多かった。 しかし,計算量は昨年にも増して多く,時間が足りなかった受験生も多かったと思われる。いかに効率よく計算できたかが最大のポイントとなった。 選択問題には,難易差がほとんどなかったように思われる。計算量は第3問,第5問が多かったが,その分,方針が立てやすい問題となっている。 |
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第1問(必答問題) 配点30点 |
〔1〕 | 指数・対数関数(対数不等式,指数関数の最大最小) 教科書本文レベルの問題 前半の対数不等式は,誘導はないが受験生には必須の問題。 後半の最大最小も頻出問題である。 この問題は,短時間で確実に得点したい。 |
〔2〕 | 三角関数(三角方程式,三角関数の最大最小) (1)教科書の章末より難しい問題 文字が2つある上,センター試験では見慣れない形の方程式であったため,難しい問題であった。 sinθ=sin(180゚-θ)に気付けるかどうかがポイント。(和→積の公式を利用しても解くことができる) また,θ,aの値を1つに絞るのもこの問題の重要なポイントであるが,穴うめの形から簡単に1つに絞られてしまう。マーク式出題の欠点ともいえる。 (2)教科書の章末レベルの問題 頻出の問題であるため,(1)ができれば難しくない。 |
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第2問(必答問題) 配点30点 |
図形と方程式,微分法・積分法の応用(直線の交点,軌跡,接線,面積) 全体を通して,方針は立てやすいが,計算量が多い。工夫して計算量を減らし,ミスをなくせたかどうかで差がつく問題であった。 (1)教科書の章末レベルの問題(計算量多) 直線mの方程式や,交点の座標など,うまく計算しなければ時間をロスする可能性もある。重要ではあるが,センター試験ではめずらしい式変形の方法のため,時間の面で差がついた問題であると思われる。 また,センター試験ではめずらしい極限の問題が出題されたが,代入するだけであったため,「極限」の意味さえわかっていれば解ける問題であった。 (2)教科書の本文レベルの問題 内容は平易であるため,計算ミスをせず確実に得点したい。 (3)教科書の本文レベルの問題 これも内容は平易。(x-2)^2を展開せずに積分する方法は重要である。 |
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第3問(選択問題) 配点20点 |
空間ベクトル(空間内の直線と垂線) 教科書の章末レベルの問題(計算量多) センター試験ではめずらしい空間内の直線の問題。誘導が丁寧であるため,計算のみの問題であった。また,途中の結果を後で使うため,試験会場では自分の計算結果を参照できるように書くことも重要である。 (1),(2),(3)とも,誘導どおり計算していけばよい。また,問題文中に計算結果が与えられているものもあったため,読むだけで時間を節約したい。 「垂線の足」という用語について,試験会場で解説があった。 |
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第4問(選択問題) 配点20点 |
複素数と複素数平面(線分が交わる条件,3次方程式,解と係数の関係) (1)教科書の章末レベルの問題 途中まで結果もすべて与えられている。題意を短時間で読み取りたい。 途中からは複素数平面とは関係ない問題。解と係数の関係に気づくことができたかが重要なポイントとなった。 最後に分数不等式を解くことになるが,最初にxの符号に気づけば難しくない。また,不等号の向きは与えられているため,ミスは避けられたのではないだろうか。 (2)教科書の章末より難しい問題 1問だけの設問であるが,複素数の積と複素数平面における回転の関係を問う良問。しかし,選択肢が3つであったため,感覚的に答えられる。マーク式の問題にはあまり適さない問題であったかもしれない。 |
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第5問(選択問題) 配点20点 |
確率分布(条件つき確率,確率変数の平均と分散) 教科書の章末レベルの問題 (1)問題設定を理解すれば平易な問題。 裏が出たときの場合の数は「同じ目が2面あるものについては,その2面を別のものと数える」ことが明記されていないため,不適切な出題であった。(解答の形で2桁とわかるので判断できた受験生も多かったとは思われるが) 2)平均,分散の公式を知っていれば解けるが,計算量が多い。後半は同じになることに気づけたかどうかがポイント。 |
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第6問(選択問題) 配点20点 |
算法とコンピュータ(余りを求めるプログラム) プログラムの意味が与えられており,理解しやすかった。 桁数,余りなど,プログラム以外の知識も必要であった。 最後の処理時間を問う問題はめずらしい。 |