総評 | 難易度は昨年並みと感じたが,昨年,一昨年の平均点と今年の問題の質から判断すると,平均点を60点近くにしたいという意図が若干ではあるが感じられる。少し難しくすると平均点は5点以上下がってしまうがそこまではないと受け止めている。 選択問題については,第4問(平面幾何)を選択すると問題の流れを理解するのに時間を要したと思う。ただ,見た目の文章量の多さから第4問(平面幾何),第5問(コンピュータ)を避けてしまった受験生は多いであろう。 日頃から慣れている第3問(数列)を選択した生徒は他を選択した生徒より時間を有効的に使えたのではないか。 |
|
---|---|---|
第1問(必答問題) 配点40点 |
〔1〕 | 2次関数の最大・最小(2次関数のグラフ,最大値・最小値) 教科書の章末問題レベルの問題。 (1),(2)は教科書と同様の計算,変形により平易に解答を導けるような問題である。 (3)は2次関数の問題では典型的な入試問題の1つである。教科書では章末問題に取り扱っているものもあるが,日頃から問題集等で演習している受験生とそうでない受験生で差が出たかもしれない。 なお,弊社発行本では「2002 ニュースタンダード p.7 問題3」,「三訂版 ニューステージ p.7 問題10」などで簡単なタイプを演習できる。 |
〔2〕 | 確率と期待値(独立試行における確率) 教科書の本文レベルの問題。 Aの箱からカードを引くこととBの箱からカードを引くことは独立した試行であることに注意しておけば教科書の演習のみでも十分に点数の取れる問題であった。 分数の計算ミスをせずに確実に解いてもらいたい。 (4)で,積が1となることは無い。 |
|
2問(必答問題) 配点40点 |
〔1〕 | 整式の割り算 教科書の本文レベルの問題。 数学Bの因数定理を知っていると早く解ける。 このタイプの問題はよく出ているので演習している受験生が多かったことと思われる。 |
〔2〕 | 三角比の図形への応用(円に内接する四角形) 円に内接する四角形の対角線,面積についての問題は教科書等では必須の問題である。正弦定理,余弦定理などを適用して解答を順次導ける。 なお,後半は対称式の等式を利用できるかどうかが問われた。誘導形式になっていたので気付きやすかったのではないか。 |
|
第3問(選択問題) 配点20点 |
数列(等比数列の決定と和,等差数列の決定と和の和) (1)教科書の章末問題レベルの問題。 隣接する2項間の条件式と隣接する3項間の条件式から,公比,初項の順に求めることにより,解答が導かれる。このタイプの問題を日頃から演習している人には苦にならない問題だったであろう。 (2)教科書の章末問題レベルの問題。 第7項の値と第12項までの和から数列の一般項の未定係数を求める問題で,日頃から演習している人には楽な問題だったであろう。等差数列の問題に帰着できることが念頭にあれば考えやすい。 ただ,最後の問題は和の第12項までの和を求める問題であり,シグマの公式を冷静に適用し計算できるかが問われた。 |
|
第4問(選択問題) 配点20点 |
平面幾何(三角形の外接円,内接円) 昨年同様に,証明問題の穴埋め。 外心の定義,内心の定義,相似な三角形,同じ弧に対する円周角の性質を知っていれば,設問が誘導形式になっているので,ある程度勘で答えられる。 教科書の知識で十分解けるであろう。 ただ,証明している内容の全体像を把握するのにかなり時間が要すると思われる。 なお,弊社発行本では「三訂版 ニューステージ p.51 問題145」などで簡単なタイプを演習できる。 |
|
第5問(選択問題) 配点20点 |
計算とコンピュータ(2次式の最小値,最大値を導くプログラム) 教科書の知識で十分解ける。 問題文からプログラムの内容をしっかり理解できれば,2次関数の知識が無くともX=0~9の数値をメモしていけば答は導き出せる。 中盤から後半にかけてのプログラムの変更においても同様のことが言える。 なお,今年も問題自体は平易であるが,年々時間を要する問題になってきた。現行制度施行当初の問題から比べると難易も高く,慣れた数列の問題と比べて選択するメリットが少なくなってきたのも事実である。 |